【書評/感想】「神様の護り猫」を読んだら、心が軽くなった
今回は、読んでいるとスーっと心が軽くなる本をご紹介。
仕事終わりや休みの日の気分転換におすすめの本。都会のガヤガヤや人混みを忘れて、ゆるやかに流れる時間を楽しめます。
【この本との出会い】
Cat'sMeowBooks(@CatsMeowBooks)で偶然見つけた本。
表紙の「猫×鳥居」に惹かれてしまい、この本を選択。
なんと、裏表紙を見ると、またしても「人の言葉を話す猫」の存在が!!
きっと、大好きな猫と暮らしたい!会話してみたい!との私の強い思いが、この本と私を引き合わせたのだと、勝手に解釈。
【書籍情報】
タイトル:神様の護り猫 最後の願い叶えます
発行日 :2018年8月12日(第1刷)
著者 :朝比奈希夜。
【概要】
舞台は、現世と隠世をつなぐふしぎな神社。
仕事もうまくいかず、都会での暮らしに打ちのめされた主人公「美琴」が、かつて祖母が住んでいた田舎の空き家に移り住み、ふしぎな神社を訪れたことによって物語がはじまる。
このふしぎな神社では、人の言葉を話す猫のふしぎな力によって、会えないはずの死者との再会ができるという。
美琴と、ふしぎな猫のモーと神主見習い神月との、生きる者と死者との再会に関する奇跡の物語。
【感想】
ストーリも良いが、街並みや人の動作の描写がていねいできれいなので、
古き良き街並みや登場人物のきれいな動作が、ふと目に浮かんでくる。
ゆるやかに流れる短編のストーリの中に、ハッとさせられるようなメッセージが込められていて、気張らなくてもいいんだ、という気持ちにさせてくれる優しい本。
そして、神社が舞台なだけあって、神社でのお作法も丁寧に描かれており、神社の作法にも触れることができる。
ぜひ、通勤時の満員電車の中ではなく、ゆったりとしたスペースでリラックスしながら読んでみてほしい。
(きっと満員電車の中で読んだら、その電車で田舎に帰りたくなる。笑)
それでは、心に響いた言葉をいくつか引用しながら、ご紹介。
「美琴。それでいいんだよ。
美琴の心が壊れるくらいなら、逃げたっていいの」
第一章の「最後の指切り」で美琴と再会した祖母が、美琴にかける言葉。
まるっと美琴を包み込むような、やさしい言葉。
まるで、「大切なのは自分だよ」と、「壊れるまで自分を追い込む必要はないんだよ」と伝えてくれているよう。
「過ちは誰にでもあるものです。ですが、その経験があったからこそ、今のあなたがあるんです。」
第二章の「空を飛べたら」で神主見習いの神月さんが神社に訪れた男性にかける言葉。
そして、美琴も。
それに神月さんも『後悔にばかり焦点を当てた生き方はもったいない』と話してくれた。過ちを犯したとしても、また始めればいい。
神月さんの言葉に対する、美琴の想い。
色々な後悔の種類があるけれど、やっぱり前を向いていたいと思う。
犯してしまった過ちも消えないし、傷も消えないけど、そんな経験も含めて自分なのだと胸を張れるように生きたいと感じた。
なによりも大切なのは、どんな状況でも始めようと思う気持ちを持つことと実際に始められる行動力なんだと思う。
「輪廻っていうのは仏教の概念だ」
「神道では、亡くなったあとの霊は現世とは別の次元に行くわけではなく幽世にあり、ただ見えないだけですぐそこにいるという考え方だ。だから魂が流転して来世で出会うのではなく、加奈子には見えないだけで、明彦のそばにいるというのが正しい。」
猫のモーが、美琴に対して輪廻について教えるシーン。
私自身、まったく未知の内容だったので、勉強になった。
輪廻の考えも素敵だし、神道の亡くなってもそばで見守ってくれているとの考え方も素敵だなあ、と。
誰かに必要としてもらえるのがこんなに心地のいいことだなんて文具メーカーに務めているときには知らなかった。
第三章「魔法のコンパス」で、ふと美琴が思うこと。
あたりまえのことでも、追い詰められてしまうとそんなあたりまえのことに気づけなくなってしまう。
自分は、誰を必要としていて、相手に伝えられているだろうか?自分は、誰に何を必要とされているのだろうか?ふとそんな疑問が頭に浮かんだ。
仕事でもプライベートでも、誰かに必要とされるように、少しずつでいいから自分の限界を超えていきたいと思う。
【総評】
良い。街並みの描写がきれいなため、描かれているシーンを想像しやすく、
章ごとに再会の物語が完結するため、ライトで読みやすい。
それぞれのストーリの中に、人のやさしさや想い合う心を垣間見れるため、読んでいるとあたたかい気持ちになり、自分に対してもやさしい気持ちになれる。
また、猫のモーの毒舌っぷりや、神主見習い神月さんとのやりとりが妙におもしろく、やさしい気持ちになりながらも、ふふっとどこか笑える、そんな素敵な本。ぜひ、ゆったりとした休日にでも読んでみてほしい。
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