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入学式
「色節、・・だな。」
校門で写真を撮ったあと、親父がつぶやいた。
「何だよ、いろふし、って。」
「人生に大切な、素晴らしい節目のことだ。色男の色に、節目の節。よっ、この色男。」
「・・あのなぁ。」
親父は、すぐふざける。俺は冷めた態度で、いなすこと15年くらい。
俺の入った高校は神奈川県にある。義務教育を終えて、さらに何を学ぶか。それは、頭のいいやつの考えることだ。
俺は、サッカーがやりたかった。
将来は、サッカーで食っていきたい。
それもこれも、地元にフロンターレというチームがあって、そこにあの人がいたからだ。
ずっと川崎にいてくれた、あの人が。
「親父、これからもよろしくな。」
「お、おい、急になんだ。」
親父と別れて歩きだすと、見覚えのある顔に声をかけられた。
「お、ケンゴ!俺ら、おんなじクラスだってよ!」
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