刑事 #毎週ショートショートnote
妙な殺人事件が続いていた。
現場に死体は出ない、しかし慰留品が一つだけ残されている。そして必ず落ちている「KA」と記されたカード。巷では、Kill Artistと恐れられていた。
警察は、血気盛んな若手刑事たちを、特別チームに抜擢し、ありとあらゆる捜査を行なった。
巧妙なトリックか、天才的な犯罪センスか、犯人の影すら踏めないような状況が続いていたが、さらに事件が起きた。
刑事たちが次々に、Kill Artistの犠牲になっていった。
ひとり減り、ふたり減り、たった一人だけが捜査本部に残った。
解散を翌日にひかえ、片付けをしていると、亡くなったはずの同僚の番号から着信があった。
「お前も、こっち来いよ!」
おそるおそる耳に当てると、テンションの高い声が飛び込んできた。声の奥からは、飲み会の会場で話しているような喧騒。
幽霊?いたずら?
真相を確かめるため、聞き出した住所に、慌てて向かった。古びたドアを開けると地下へ続く階段があった。
降りて降りて、降りて降りて、やっと大きな扉の前に出た。見覚えのある、KAのロゴ。
Kind Assassination
親切な・・暗殺・・?
どこかにある、現代版の竜宮城のお話。
(497文字)
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