商談 #毎週ショートショートnote
「おい、絶対にあの店で、俺ら・・いや、俺の正体がバレないようにしろよ!」
「心配いりません!僕たちは完璧にビジネスマンに変装しましたから。」
「時間だ・・行くか。絶対に大きな声出すなよ。」
ブーーーーーッ
「えっ?何すか、劇場のブザーみたいな音、鳴ったんスけど」
「(おい、ちゃんとやれ)・・御社の商品について、改めて伺っても?」
「(変わった店とは聞いてたけど)・・は、はい、せっかくですから、時間の許す限り、ご紹介を・・」
店内には、常連客と見られる老婦人。中央には、スタインウェイのグランドピアノが鎮座していた。二人は商談の演技を続けながら、その機会を待った。
ようやく水を入れたグラスを店員が運んできた。
「お待たせしました。4分33秒が経過しました。ご注文をどうぞ・・」
「・・遅いなぁと思ってたんスよ。あ、ジョン刑事、何にしますか?」
「あっ、おま・・・」
老婦人が目を見開いて立ち上がる、驚きに満ちた表情で声をあげた。
「あ、あなた、いま、何て。・・ジョン・・刑事・・・あぁ、なんてこと!」
(439文字)
(前回:イライラする挨拶代わり)
#毎週ショートショートnote #カフェ4分33秒 #ジョンケージ #現代音楽
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