おばけなんてないさ #書もつ
夏といえば、怪談、ってなんででしょうか。なんとなく寝付けなくて、気を紛らわすためなのか、夜が短いからすぐに言い訳できるからか・・怖い話はちょっと・・。
怖い話は苦手だけれど、子どもの絵本ならそんなに怖くないんじゃないか、ということで大人向けの怪談は読まないけれど、子どもが好きなお化けの絵本を紹介します。
おばけがぞろぞろ/ささきまき
不思議で、観たことのない独特なキャラクターを描くこの作家さん。その魅力が遺憾無く発揮されて、怖いけれどどこか可愛いお化けたちが、あちこちから出没。お化けたちが集まって、最後に迎えに行くのは、人間の男の子。これは楽しい終わり方なのか・・な、とちょっと不安の残る結末に、読み聞かせの手もふと止まります。
男の子の表情からして、楽しく遊ぶというのが続きなのでしょうから、お化けは友達だから、怖くないんだよー、と伝わればいいのですが。
お化けの迷路/香川元太郎
絵が怖い。迷路も怖いし、いちいちステージも恐ろしい。なんでこんなに怖いのか・・それは、世界各地、古今東西のお化けたちを集めて描いているから。日本だけじゃなく、ヨーロッパも、アジアも・・見たことのないお化けたちがたくさん。
とにかく量が多く、表情も豊かで、迷路も程よく難しくて、迷路の周辺には、さまざまな小ネタもあって。子どもって、なんであんなに迷路好きなんだろう・・。おばけの知識を蓄えては、また怖がりになっていくような気がしないでもないです。
おばけいしゃ/せなけいこ
一転、ちょっとかわいいおばけたちのお話しも。貼り絵で表現された作品が特徴的な作者の、おばけえほんシリーズは子どもたちのお気に入りです。中でも、このお医者さんの話はテッパン。保育園から借りてきては何度も何度も読みました。
おかげでちょっと暗唱できるくらいまで覚えてしまいました。全然お客が来ない医者のところに泣きついてきた一つ目小僧・・普通なら、怖い!ってなりそうですが、そこは商売と人助けならぬ、おばけ助け。結局、おばけのための医者になるという、利他の精神も養える作品・・かも。
いるのいないの/京極夏彦
最後は、この人の絵本。分厚い小説を読んだことがある人もいるかも知れません。
内容を全く知らずに、読み聞かせ始めて、終盤の見開きページ!・・息が止まって、心臓が止まるかと思った。こっわ!!でした。怖い話が苦手な人は、絶対に読まないでください。僕も、これを書きながら、思い出してしまい、早く家族のいる寝室に戻りたくて仕方なくなっています。
この何やら不気味な絵も怖いのです。雰囲気も暗くて、いちいち目が会うというか、自分が見られているような気分にもなって。主人公の男の子が、ずっと主張している”いる”ものとは。気をつけないと、声がでますよ。
子どもはお化けの本が好きだけれど、、お化けが怖くてひとりでトイレにいけません。それは夜中だけでなく、日中も。大して広い家ではないのに、怖がってしまうのです。
だったら読まなきゃいいのに・・とはいえ、お化けには、何か魅力があるのも分かる気がします。