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難局の南極で #書もつ
毎週木曜日は読んだ本のことを書いています。
先週紹介した「復活の日」で、生き残った人類が暮らした南極。物語ではとても深刻な場所として描かれていました。
でも、読みながら思い出したのは、閉塞的な環境下で、明るく暮らしている様子を描いた作品。南極観測隊として派遣された料理人のエッセイでした。
面白南極料理人
西村淳
面白かったー。
極寒の南極で繰り広げられる温かい人間模様。
極限状態だからこそ、すべてのものが貴重でいとおしい。
そんな繊細な思いを、若干ガサツな表現で描き、読みやすくする工夫に感心してしまった。
宇宙飛行士ほど有名ではない彼らの活動に興味が湧いた。
三度目の正直に期待(笑)
もはや時代は変わり、さまざまな機器や工夫が生み出されていて、実際の様子とは違うのかも知れないけれど、生きるために欠かせない食との関わりがとても楽しく読めました。
小学校1年生のころだったか、教科書に「しらせ」という名前の船の写真がありました。南極に行くための船、と聞いて「だから、ひらがな3文字で、外国の人でもなんとか読めるような名前なのか」と思ったのを、今でも覚えているくらい、南極がどんなところか知らず・・。
冷凍食品は得意だけれど、冷蔵や生は不得意。南極という地で、さまざまな味の好みや、季節感を出すために奮闘する料理人は、研究といった使命を持たず、ほかの隊員を生かすために働く尊い存在のはず・・。
筆者の性格なのか、とても楽天的な視点から楽しく読める作品でした。僕は学生時代に、調査と呼ばれるものは、文献をあたることしかしてきませんでしたが、自然科学が相手なのもまた夢があるという感じがしました。でも、南極には行きたくないですが(笑)
いつぞや映画になったように記憶をしていますが、映画よりももっと汚いというか、人間っぽい描写があったのが良かったなと思います。映画はエンタメ、エッセイは観察日記・・登場人物の顔写真があったように思いますが、みんな髭のおじさんで、映画のような顔立ちの人が殆どおらず、現実はなかなか厳しいなぁ(失礼ながら・・)と思ったのを思い出しました。
どんな場所でも、美味しいものを食べたい、それを叶えてくれる料理人こそ、難局を越える力を与えてくれるのだと感じました。
ひたすらに寒い大地で任務に取り組む人たちの命は、食そのものなのかも知れません。温かなコーヒーのように、白い大地では大切な存在の話に合わせたサムネイル、infocus📷さん、いつもありがとうございます。
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