顔が見たい
電車に乗っていると、ついついスマホを眺めてしまうか、そうでもなければカバンから本を出して広げています。
大学生の時、地下鉄に乗って通学していたのですが、車内を観察するのが習慣になっていたことがあって、その時の様子を別のブログのようなものに書いていました。
もう20年以上も前のことだから、ブログなんて言葉はなくて、個人のホームページに車内観察記録としてコンテンツを書いていたわけです。あんまりいい趣味ではないですね(笑)
今となっては、それらのページも無くなってしまった(はず)ので、どんなことを書いたのかきちんと思い出せませんが、車内であった面白いことについて書いていました。
当時人気のあった、チョナンカンという韓国風アイドル(実際には日本人の男性アイドルグループのひとり)に関する噛み合わない会話を延々続ける女子たちや、降りる駅に着いて目を開けたら、足元にみかんが転がっていたことなど。
今朝の車内で、座ることができてホッと息をつきました。
反対側の座席に目をやると、飛行機の絵が刺繍されているタグを鞄につけた人が座っていたのです。
気になる航空会社は、Japan Air Commuter である。この会社は、通称をJAC(ジャック)と言って、なんとなく字面が似ているJALの関連会社になっています。
その昔、日本の航空会社はいくつかあって、今の2巨頭の前に、日本エアシステム(JAS)という会社もありました。幼い僕は「オレンジのひこうき」と呼んでいたのを思い出します。
僕は祖母の家が離島にあるため、夏休みのたびに、小さな飛行機に乗って島に渡っていました。小さいのでよく揺れるし、よく酔う。大人になっても、その飛行機に乗る前には酔い止めを飲んでおきたいほどに、酷く揺れる記憶があるのです。
揺れは飛行機のせいではなく、気流のせいなのですが、プロペラのエンジン音や、あまりにも頼りない室内などは子どもの僕には不安でしかありませんでした。
その小さな飛行機こそ、JACだったのです。
いま読んでもらったようなことをフッと思い出し、このタグをつけている人の顔が見たくなってきました。どんな人なのだろうか。
もしかしたら、離島の出身者かも知れないし、だからといって何もないけれど、マイナーな航空会社のアクセサリーをわざわざつける(こういう発想が、妻に考えすぎだと言われる)のは、何か主張があるのかも知れないなと。
しかし混んでいる車内では、立っている人の陰に隠れて、顔が確認できませんでした。
駅に着き、多くの人が降りても、顔までは見えなくて。顔を見たとしても、何もわからないのだけれど、気になってしまうのだから仕方ありません。
結局、僕が降りる駅に着いたので、席を立って、顔を見てみました。
普通のおじさんでした。
なかなか飛行機にも乗れない時期を過ごしてきて、いよいよ夏になりますが、また離島に行く夏になるのかな・・なんて思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、僕だけでなく家族で喜びます!