青山 #毎週ショートショートnote
「ようこそ!我が学院へ」
今年の新入生も、競争率30倍を勝ち抜いてきた英才たちだ。
昨年から共学化したのに加え、学校のある街が住みたい街ランキングの上位に選ばれたことで、知名度が飛躍的に延びた。それに伴って、偏差値も上がり、地域の成績上位校としても名前を連ねるようになった。
舞台上の照明を反射した白い歯が、遠くからでも良くわかった。学院の名物校長、清虎悟久里だ。
コーヒーのような日焼けした肌と、整った顔立ちながら歯に衣着せぬ教育論をぶつ、メディアの露出も多い、人気の教育者だ。
もとより新入生本人よりも、親たちの憧れを集めていた。入学式は、新入生の2倍もの保護者席を用意したが、今年も足りなかった。年々、子ども或いは孫に期待をかける大人が増えている。
彼の登場する場は、まさに一人舞台。この入学式もまた、コーヒー色の肌になぞらえて、一部のメディアから深煎り入学式と呼ばれていた。
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