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猫の手を借りて #書もつ

いきなり真夏がやってきたような暑さに、体も心も驚きを隠せない日々を過ごしていますが、お元気でしょうか。本を読むにも暑くて集中できない・・と言うことで、今回は短編集を。

夏目漱石の没後100年に記念出版された、アンソロジー(短編集)で、漱石のそれと同じように、猫からみた人間を描かんとする作品たち。

当時、手に取った時にはほとんどの作家さんを知っていたので、こんなに知っている人の作品が載っているのは珍しい!と買って読んだ記憶があります。

吾輩も猫である

「吾輩は猫である」の表紙は、夏目漱石が椅子に座り、片肘をついて背もたれに寄りかかっている、とても有名な写真でした。その漱石部分を猫にすり替えたイラストの表紙。体型は、顔に合わせてふっくらとしています。

文庫本にあって、カバーの印象強さにひかれて手に取ったことを思い出します。その時は、この猫が漱石のポーズを取っていることがすぐにわからなかったのですが、読み始めて、現代の作家たちは皆、漱石の影響を受けているのだと知りました。

巷のペット事情で考えるところの、猫と犬の根本的な違いは、人間との関係性であるように思います。よく、猫を飼っている人たちは自分たちのことを「下僕」と表現することがあり、それは猫の世話をさせてもらっている、と言う不思議な感覚を以って生活をしている様子からくるようです。

この作品もその感覚が踏襲されていて、元々犬が好きな僕からしたら、猫の自分勝手さのような振る舞いにも、きちんと意味があったのだと感じる物語が多くありました。

動物を主人公にする、というか、擬人化して書いている作品は、作家さんの想像力がいかに優れているかを見るようで、普段とは違うイメージの作家さんもいました。知っている方だ毛でなく、知らない作家さんを読んで、その作家さんを知ることもあるでしょう。

短編集は知っている作家さんの数で読もうと決めるような部分もあり、この作品は8命中、7名を知っていたので、すぐに買って読んでしまいました。

作家さんが実際にどう考えているかは分かりませんが、1冊の文庫本で8人の作品が読めることは読み手にとっては、お得です。短編集には、極端な話があったり、理解が難しい設定があったりすることもありますが、この作品集は無理なく読むことができました。

本業でも猫が主人公の話を書いている赤川次郎の安定感も、きっと犬が好きなんだろうと思っていた原田マハの書く猫も、読み手と猫を近づけてくれるような、温かい作品でした。


じっと見つめられて、何を考えているのか・・ただ、ぼんやりとしているだけなのか・・猫の表情にもまた人間味がありますね。人間を見透かすような猫の視線、印象的なサムネイルです。infocusさん、ありがとうございました。

#推薦図書 #猫 #短編集 #吾輩 #猫目線  

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