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朝のランドリー
夜更かし読書によって睡眠時間が削られた朝、重たい体を起こし、布団を出て静かに部屋を出る。ストッパーがけたたましい音を立てないよう、ドアを押す手に力がこもる。
別の部屋に入って、部屋干ししていた洗濯物を触り、乾き具合を確かめる・・昨日も雨、今朝も雨。洗濯物は、ひんやりと湿っていて、さらに今日1日かけても乾くのは難しそうだ。
洗面所に行けば、昨夜セットした洗濯物の脱水が終わっているはず。それもまた部屋干しするには、スペースもハンガーも足りない。
そうだ。コインランドリーを使おう。
洗濯機の中にあった洗濯物をカゴに入れ、玄関の物入れからランドリーバックを引っ張り出す。乾いていなかった昨日の洗濯物たちはランドリーバックの中に。湿った洗濯物はずっしりと重いが、わずか30分もすれば温かく乾燥した洗濯物になる。
そんな設備が、家のそばにあって良かった。
財布の小銭を確認して、洗濯物たちを車に積む。家族はまだ寝ている。買い置きの炭酸水を鞄に入れる。
静かに車を出して、コインランドリーへ。駐車場はまだ空いていた。
雨の日の午前中は、機械がフル回転してもなお、順番待ちらしき人たちの姿もあるから、早朝に動いて正解だった。機械もほとんど使われていなかった。
上段の乾燥機に、湿った洗濯物を置いていく。誰かが見ているわけではないけれど、下着や大きく名前のついたものは、なんとなくタオルに包んでみたり、ほかの洗濯物の下に入れたり。
投入口を間違えないように、上段と書かれた矢印を見ながら、100円硬貨を3枚。
中温のボタンを押してから、スタートボタン。
反応なし。
あらためて人差し指に力を込める。
乾燥機が回り出して、ようやくランドリーに設置されたテレビの音が認識できた。ここで休むための椅子はあるけれど、テレビが賑やか過ぎるから外へ。
停めていた車に戻り、文庫本を開く。夜更かしをしても読みきれない。乾燥までの待ち時間を読書に充てる。
炭酸水をドリンクホルダーに立て、視線を落とす。
あっという間に30分が経つ。物語は意外な方向に進んでいた。
回転が終わるまで、あと1分の表示。ぐるぐると回る洗濯物のスピードが落ち、数字はゼロになった。扉を開けると、ムワッと熱い空気がこぼれて顔に当たる。
あつあつの洗濯物をいそいそとかごにおろす。入れる時にはあれだけ気遣っていたものたちは、消えて無くなってしまったかのように、慌ただしく取り出す。
あつあつのまま、バックに詰めて、来る時よりも増えたけれど軽くなった荷物を積んで帰宅。
休日の朝なのに、珍しく家族がみんな起きていた。
お腹すいたー
パパなにしてたのー
2日分の洗濯物が乾いて、心が軽くなった朝。
まだ土曜日というのも、ちょっと得した気分だ。
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