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おいしいおもいで #書もつ

チャイムが鳴って、いい匂いが漂ってきて・・小学校の頃、給食の時間がとても楽しみでした。学校で好きな時間は何?と聞かれて「給食!」と答えていたという方もいるのではないでしょうか。

給食室、と呼ばれていた場所があること、それは作りたての温かい給食が食べられるということでもありました。

成長して、地域によっては「給食センター」で作られた給食が配達されると聞いて、僕は当たり前に、小学校には給食室があると思っていたので意外でした。

さて、そんな給食室だけにとどまらず、学校中、果ては学校外にまで飛び出していく、給食調理員さんの物語を読みました。この投稿を書くために調べてみたら、なんと5冊のシリーズになっているのだとか・・。

毎週木曜日には、読んだ本のことを書いています。

給食のおにいさん
遠藤彩見

家族に渡してもらったのは、3冊。読み始めてみると、これは美味し・・まちがえた、面白い。上で紹介したのは第一部にあたる作品。

タイトルの通り、給食のおにいさんが奮闘する物語なのですが、自分が経験した給食とはまた違う、現代的な学校での問題がいくつも登場します。

給食という“食”で立ち向かう様子は、力や言葉ではない、新しい説得力だなと思いながら読みました。

給食が命をつなぐ、大袈裟でない現実が描かれていました。給食でしかできないことも沢山あるのだと思います。みんなと食べる、それだけで味も豊かになるし、苦手なものもエイっと飲み込める。

物語に登場する悩める子どもたちは、大人には想像もできない苦しみを抱えていることもあって、一筋縄ではいかないところは、実際に子どもを持つ親としても緊張感がありました。

作家の本業は脚本家とのことですが、言葉遣いはほんとうに今の感じで違和感がなく、読みながら頭の中で映像が出てきたり、主人公たちが喋り出すような感覚を覚えました。設定に無理がなく、言動の描写が精緻。ページを繰る手が止まらないのです。

ひとつひとつの物語が完結まで書ききられていないのも、特徴的でした。この話し、この後どうなるの⁉︎と思うところで季節が変わり、話題が変わるのは、とても余韻があって面白いなぁと感じました。

余った給食を食べに栄養事務室に来る子や、輝かしい経歴によって悩む子など、大人でも解決策がわからない、そんな子どもに対してどう接するのか、給食のお兄さんの挑戦を応援している自分がいました。

子どもが食べるもの、それを作るのは大人。そんな当たり前の関係を、いくつもの物語が痛切さを持って教えてくれるのです。

学校で学ぶことは、学習指導要領だけではないと改めて思うのです。そして直接学びとは関係なさそうな大人たちが、一生懸命になっている姿は、読む人の心を打つのです。通勤の電車で読んで、何度泣きそうになったことか。

黙食なんて、悲しい造語ができてしまう現在だからこそ、給食が注目されているようで。視点を変えれば、ひとりひとりが食べることに集中できるのかもしれません。

嫌いなものは頑張ってみる、家では出ないメニューも挑戦する、少しの勇気を積み重ねて食べる子どもも多くいるはずです。

勉強の合間に食事を摂ると言うだけでなく、食と自分をつなぐ大切な時間を、どうか楽しんで欲しいなぁと思うのでした。

来年から小学生の我が子を思うと、美味しい給食に出会えますように、と祈るばかり。

ふっと記憶に蘇る、お気に入りの給食メニューは、マカロニグラタンです。僕が小学生の時は、ほとんどパン食で、ご飯は月に数回でした。ソフト麺とか、また食べたいなぁ。かわいいサムネイルはinfocusさんの作品です。ありがとうございます!


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