線路はつづくよどこまでも #創作大賞感想
とにかく、とおく(遠く)・・なんて、まさに旅の醍醐味だなと思った。
ここではないどこか、は大人になってから求める旅先だけれど、小さな子どもには「とおく」が魅力的なのだ。遠ければ遠いほど、何だか嬉しくなる。まだ知らない景色が見たい、いや電車に乗りたい!と、胸を躍らせている”子”野やぎくんの姿を想像して、ノンストップで読んだ。
野やぎさんの、息子さんとの鉄旅の記録。
好きなものがあることは、それだけで楽しい。それを体験してくれるのが子どもたちかも知れない。そんな子どもの夢を叶えるのが、そばにいる親の楽しみであればもっといい。
1日の大半を電車に乗ることに使い、目的地を観光するというよりも、目的地までの道のりをこそ楽しんでいた。いいなぁいいなぁ。読んでいると、子どもと旅行に行きたいなぁと思ってしまう。
我が家はいま子どもたちが3人いるが、まだ2人だった頃、上の子と僕だけで旅行することがあった。本当は家族で行く予定だったけれど、下の子が体調を崩して妻と留守番をする、ということが何度かあったからだ。
親子2人旅は気楽なようで全く油断できない。とくに小さな子は自分でできることはかなり限られてくるから、先回りして親が声をかけたり気をかけたりするわけで。
とにかく怪我なく、家に帰れることが至上命題になる。しかし、思いがけず早起きしたり、普段は食べない野菜を食べたり、予想外の発言をして、親を驚かせることがある。
そんな時、親は嬉しくなる。旅を肯定したくなる。
可愛い子には旅をさせよ、そんなことわざがある。その旅が、どんな意味であれ、子どもが成長するはずだという古くからの子育て法である。野やぎさんは、自らの尻を犠牲にして、子どもの成長を目の当たりにした(ちょっと違う)。
夜、寝落ちした子野やぎくんの重さを想像すると、同じ父親として赤ちゃんの頃を必ず思い出すだろうなと思った。こんなに大きくなって・・しみじみ。また行こうな、なんて思ってるんだろうな・・温かいな。
と、思っていたら、とんでもない旅行プランの手書きメモが貼り付けられていた・・きみの線路はつづくよどこまでも・・さすが子鉄である。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、僕だけでなく家族で喜びます!