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【発達障害②】多様性を認めるとは?(後編)

続きです。

◾️一般就労について

一般就労に従事する人には、
・しっかりと挨拶すること
・一定のコミュニケーションが取れること
・時間管理やタスク管理がある程度できること

など、様々な項目において「社会が求める最低レベル」が期待され、それらがレベルに満たない場合、「できない」とみなされてしまう傾向が、まだ多くの職場であるように思います。

発達障害のある人にとって、上述の様々な項目で「求められるレベル」を達成していくことは、非常に困難なことが多いように思います。

そもそも、
・毎日同じ時間に出社することが難しかったり、
・日々のルーティンワークをこなすことが難しい人もいるし、
・ミスを頻発したり繰り返してしまう人もいる。
・そして、弊社ホームにいるご利用者のように、しっかり挨拶をすることができない人もいます。

それらを通じて、周囲との違いを突きつけられてしまい、本人も嫌になってしまう
その結果、自分自身の存在意義に疑問を抱くようになってしまい、仕事を辞めてしまうこともしばしばあるように思います。


◾️なぜ「働く」ことを選択するのか?

そもそも、「労働」だけが人生の目的では無いと思いますので、
自尊心を傷つけたり、健康を害してまで、無理に労働を選択する必要はなく、
労働をせずに、自分のペースで、自分らしさを大切にしながら生きていく、という選択肢もあります。
(そのために、障害年金などの枠組みもあります)

しかし同時に、「労働」を通じて、
・人の役に立ちたい
・「ありがとう」と言われたい
ということを、(潜在的にも)求めている人が数多くいらっしゃいます。


「個人の尊厳」のためにも、心の健康のためにも、そして自己実現をするための手段としても、「労働」はとても有効なものだと個人的にも思いますし、
それを求める人がいるのならば、力になりたいと心から思います。

◾️多様性を認めるって、なんだろう?

では、発達障害の人が「働きたい」「誰かの役に立ちたい」と思い、労働を選択した時に、

●発達障害のある人に、「求めるレベルを満遍なくできるようになる(変わる)」ことを求める職場か、
(本人が周りとの違いを感じ、居づらさを感じ、辞めてしまう=「本人」側に変わることを求めているとも言える)

●発達障害のある人に、「できないことを求めず、助け合い、職場環境の方を変えていく」職場か

どちらが「多様性を認める職場」なのだろうか?と考えることがしばしばあります。

SDGsが叫ばれている昨今ですが、まだまだ、日本には後者に本気で取り組んでいる組織が、少ないように感じます。

「多様性を認める」とは、従事する1人1人の特性に合わせ、働きやすさを考え、環境を工夫したり試行錯誤をしていくことではないか?と私は思っています。

◾️ご利用者の就活はどうなったか?

だいぶ話が逸れてしまいましたが、弊社のホームに住むご利用者は、結論、

★就労継続支援A型事業所

に通うこととなり、しっかり給料を稼ぎつつ、ご自身のペースで、自分らしく働くことができています。

当時、ご本人とも対話を重ね、
「一般就労よりも、A型事業所の方が、自身に合っているのではないか?」
という考えにご本人が行き着くことができ、

その中でも、ご本人の性格や特性に理解を示してくれ、配慮をしてくださる事業所が見つかりました。

過去、一度、一般就労をするものの、うまくいかずに思い悩んだご利用者だったために(弊社グループホームに来たのはその退職後)、良い道が見つけられとても嬉しく、ご本人含め、皆で喜びました。

◾️今求められているのは?

このご利用者については大変喜ばしい就職となりましたが、残念ながら、自分に合う環境を見つけられた!という人ばかりではありません。

なかなか自分に合う環境が見つからなかったり、
一般就労やA型事業所は諦め、B型事業所に通うも、あまりにも工賃が安くやる気が出ない、、なんて人も、弊社ホームにもたくさんいらっしゃいます。
(工賃の安いB型しか選択肢がないことも、非常に大きな問題だと個人的には思っています)

発達障害を持つ人が、大きなストレスや負担を感じてしまう職場に、無理をして適応する必要はありません。

しかし、「じゃあ働くのを諦めよう」となってしまうのは、あまりにも選択肢が少な過ぎるし、自己実現の場が少なすぎる
(実際には、そうなっている人も多いように思います)

「発達障害があるからと言って、それが決してその人の存在意義を否定するものではない。」

このことを実感してもらうためにも、「多様性を認め」、障害のある人でも、自分らしく働け、自己実現を目指せる場を増やしていくことが、まさに急務だという実感があります。

そんな場所を、地域の中に本気で創りたい。
「生活を支える」場であるグループホームのみならず、「自己実現のできる」場を、本気で模索し、2025年に実現していきたいと思っています。

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