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優れたブランドの共通点とは?Job理論で顧客心理を解き明かす
はじめに:あなたは「モノ」を買っているようで「Job」を雇っている?
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あらすじ
「斉藤君、優れたブランドの定義とはなんだと思う?」
ある日、白鳥部長にそう問いかけられた。
「お客様に支持されているブランド、でしょうか?」
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「それも一つの側面だが、もっと本質的な部分がある。例えば、長年愛されているブランドから、新進気鋭のブランドまで、様々なブランドが存在するが、それらに共通する"何か"があるとしたら、何だと思う?」
言葉に詰まった。
「うーん…、品質でしょうか?技術でしょうか?」
「それらも重要だが、もっと根源的な部分だ。斉藤君は普段どのような基準で商品やサービスを選んでいる?」
「自分のニーズに合っているか、という点が大きいと思います」
「その通り。優れたブランドは、顧客のニーズ、つまり"Job (片付けるべき仕事)"を解決しているのだ」
Jobとは、イノベーションのジレンマで有名なクリステンセンが提唱したコンセプトだ。
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例えば、人がホームセンターでドリルを買うのは、ドリルそのものが欲しいのではなく、壁に穴を開けたいからだ。
牛丼屋で牛丼を食べるのは、空腹を満たしたいからだ。
つまり、優れたブランドは、顧客が抱えるJobを解決することで、顧客に価値を提供しているのだ。
「なるほど、Jobですか…。言われてみれば、確かにそうですね」
「Jobは簡単には見つからない。だからこそ、ブランドを成長させるのは難しいのだ。毎年、多くの新商品が生まれては消えていくのは、Jobの理解がないままに製品開発をしているからだ」
これまで、ブランドについて深く考えたことはなかった。
しかし、Jobという概念を知ったことで、ブランドを見る目が大きく変わった。
「斉藤君、Jobを発見し、解決するプロセス、これをマーケティングと定義だとお思うんだ。マーケティングは、広告や販促活動だけではない。Jobの発見から解決に至る包括的なプロセス、つまり経営そのものなのだ」
白鳥部長は、最後にそう締めくくった。
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ブランドの秘密を解き明かす:Job理論とは何か?
優れたブランドに共通する秘密、それは「顧客のJobを解決している」ということだ。Jobとは、顧客が抱える「片付けるべき仕事」であり、ニーズや欲求と言い換えることができる。
優れたブランドは、顧客のJobを的確に捉え、そのJobを解決する商品やサービスを提供することで、顧客に価値を提供している。
クリステンセンのJob理論とは?
クレイトン・M・クリステンセンは、ハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、「イノベーションのジレンマ」などの著書で知られる経営学者です。
彼は、Job理論という新しい顧客理解の枠組みを提唱しました。
ジョブ理論とは、「人々は特定の用事を片付けるために、製品やサービスを『雇う』」という考え方です。
つまり、顧客は製品やサービスそのものを求めているのではなく、自分のJobを片付けるための道具としてそれらを求めているのです。
Jobの種類
Jobには、機能的なJob、社会的なJob、感情的なJobの3種類がある。
機能的なJob:具体的なニーズを満たすJob(例:空腹を満たす、喉の渇きを癒す)
社会的なJob:社会的な欲求を満たすJob(例:周りの人に認められたい、尊敬されたい)
感情的なJob:感情的な欲求を満たすJob(例:安心したい、楽しみたい、感動したい)
優れたブランドは、これらのJobを複合的に解決することで、顧客に深い満足感を与えている。
具体例で解説:Job理論でブランドを読み解く
Job理論は、既存のブランドを読み解く上でも非常に有効です。
各ブランドが、顧客のどのようなJobを解決しようとしているのか、どのような価値を提供しようとしているのかを理解することができます。
例えば、
スターバックス:美味しいコーヒーを提供するだけでなく、くつろげる空間を提供することで、「カフェで休憩したい」という機能的なJob、「おしゃれなカフェで時間を過ごしたい」という社会的なJob、「リラックスしたい」という感情的なJobを解決している。
Apple:革新的な技術を提供するだけでなく、シンプルで使いやすいデザインを提供することで、「ストレスなくデジタル機器を使いたい」という機能的なJob、「最先端の製品を持ちたい」という社会的なJob、「創造性を発揮したい」という感情的なJobを解決している。
ユニクロ:高品質な服を低価格で提供するだけでなく、様々なシーンで着られる服を提供することで、「手頃な価格でおしゃれな服が欲しい」という機能的なJob、「どんなシーンでも恥ずかしくない服が欲しい」という社会的なJob、「自分らしいスタイルを表現したい」という感情的なJobを解決している。
これらのブランドは、顧客のJobを解決することで、顧客の心を掴み、熱狂的なファンを獲得している。
Job理論の応用:ブランド価値を最大化する
「そうか!Job理論は、新しい商品やサービスを開発するだけじゃなくて、既存のブランド価値を最大化する上でも大事なのか」
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顧客のJobの変化を捉え、それに対応した商品やサービスを提供することで、顧客との関係性を深め、ブランドロイヤリティを高めることができます。
斉藤は自社の「大型商業施設」「ホテルブランド」「鉄道事業」に当てはめて考えることにした。
例えば、
大型商業施設は、「様々な商品を一度に比較検討したい」「必要なものをまとめて購入したい」という顧客のJobに加え、「地域コミュニティとの交流を深めたい」「環境に配慮した商品を購入したい」という新しいJobに対応するため、地域密着型の店舗やイベントを誘致したり、環境に配慮した商品やサービスを提供する店舗を誘致したりしている。
ホテルブランドは、「快適な宿泊場所を確保したい」という顧客のJobに加え、「ワーケーションに対応できる環境が欲しい」という新しいJobに対応するため、高速Wi-Fiやコワーキングスペースを完備した客室を提供している。
鉄道事業は、「目的地まで安全かつ時間通りに移動したい」という顧客のJobに加え、「移動時間を有効活用したい」「移動時間を快適に過ごしたい」という新しいJobに対応するため、全席に電源コンセントとWi-Fiを完備した車両や、カフェテリアやワークスペースを設置した車両を導入した。
このように、Job理論を活用することで、顧客のニーズの変化に柔軟に対応し、常に顧客に価値を提供し続けることがでるということ。
まとめ:Job理論で「顧客が本当に求める価値」を創造する
Job理論とは、顧客が「ある目的を達成するため」に、商品やサービスを「雇う」という考え方です。
つまり、顧客が本当に求めているのは商品やサービスそのものではなく、Jobを片付けるための「解決策」なのです。
このJob理論を理解し、顧客のJobを深く理解することこそ、真に優れたブランドを築くための第一歩です。
Job理論は、あらゆるビジネスに適用できる強力なフレームワークです。
ぜひ、あなた自身のビジネスにおいても、Job理論を活用し、顧客が本当に求めている価値を提供できるブランド作りを目指してください。
※本記事は「ブラックジャックによろしく」(著者:佐藤秀峰)の二次利用の規約に従って制作しています。
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