リフレ派とMMTの違いは

リフレ派とMMT(現代貨幣理論)は、どちらも経済停滞や低インフレから脱却するための政策として注目されていますが、その基本的な考え方やアプローチには違いがあります。

1. 基本的な理論の違い

• リフレ派:リフレ派は、デフレや低成長の克服に重点を置き、金融緩和(例えば、中央銀行による国債の買い入れ)を通じて物価と経済を押し上げることを主張します。金融政策が中心で、政府が支出を増やして景気を刺激することもありますが、基本的には中央銀行がインフレ率を目標に緩和を行う点が特徴です。
• MMT(現代貨幣理論):MMTは、政府支出に関する新しいアプローチで、特に自国通貨を発行できる国(アメリカや日本など)は財政赤字を問題としなくてもよいと主張します。MMTによると、政府は必要な資金を通貨発行でまかなうことができ、インフレになるまでは財政支出を拡大しても問題ないと考えます。MMTでは金融政策よりも、財政政策(政府支出)が経済安定のための主な手段とされています。

2. 政策手段の違い

• リフレ派:中央銀行が金利を下げたり、資産を買い入れたりすることで市場にお金を流し、企業の投資や消費を促します。いわゆる「量的緩和」などがリフレ派の主要手段です。
• MMT:MMTでは、政府が直接的に財政支出を増やし、公共事業や社会保障、雇用の創出に充てます。MMTの支持者は、特に「政府は完全雇用を目指すべき」として、失業対策として政府雇用を重視します。

3. 財政赤字に対する考え方

• リフレ派:財政赤字については、ある程度の許容はするものの、基本的には将来的には管理されるべきものとされています。財政支出を増やすにしても、中央銀行による資金供給が必要であるという考えが強いです。
• MMT:MMTでは、自国通貨を発行できる政府には「財政赤字は問題にならない」という考えがあります。赤字額が増えても、インフレが制御できる限りでは問題ないとされ、インフレが発生した場合には税金の引き上げなどで対応すればよいとします。

4. インフレ管理の方法

• リフレ派:インフレが目標に達するまで金融緩和を続け、適度なインフレを目指します。インフレが過度になれば、金融政策を引き締めて調整するのが基本です。
• MMT:MMTでは、インフレのリスクを政府の財政政策で管理します。インフレが進みすぎた場合は、増税や政府支出の削減でインフレを抑えるという考え方です。

簡単なまとめ

• リフレ派:デフレ脱却のための金融緩和を重視。中央銀行の役割が大きい。
• MMT:政府支出拡大で完全雇用を目指す。財政赤字を気にせず、政府の財政政策が中心。

それぞれの理論は異なるアプローチを取りますが、デフレ経済や停滞した景気への対策として注目されています。ただし、インフレが進みすぎるリスクや、長期的な経済の安定性に対する懸念から、どちらも賛否が分かれています。

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