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【エッセイ】幸あれ


今日は体力2、気力1くらいから始まった1日だった。

正直、朝起きた時点でまず疲れていたけれど、土日は夫が休みなので、せっかくなら出かけたい。夫は口を開けばホンヤイキタイ(本屋行きたい)!ホンヤイキタイ!ばかりの本中毒なので、私が本屋に行こうかというと喜ぶ。喜ぶ顔を見るのはうれしい。

顔を洗って歯磨きをして、その勢いで化粧と着替えまで済ませた。そこまででもう私の本日分は終了したけれど。タンスの奥から引っ張り出してきた黄色の靴下がかわいいから、気力1回復。
玄関で靴べらを使い、靴に足を入れた時点で再び0へと戻った。

室内はペットのよもぎ(ハムスター)、つむぎ(リクガメ)のために少なくとも22度以上が保たれている。電気代は全く可愛くないけれど、ペットたちは本当に可愛い。私たち人間はその恩恵を受けて、ぬくぬく快適に過ごさせてもらっているけれど、毎日外へ出る夫はまあ別として、普段買い物以外で外に出ない私は特に外の寒さに気づかない。
以前は少しでもからだを動かすため、海のそばへ散歩に出かけたり、図書館で本を借りたあと近くの公園で本を読んだりしていたけれど。それもいつの間にかなくなってしまった。

ペットとともに、そんなぬくぬくの室内に甘えて過ごす私には今日の、鼻の頭が凍るんじゃないかと思うような寒さはちょっと。無理だった。体力、気力ともにマイナス100を叩き出した。

けれど、まあ…。
夫は「寒いねえ」と言いながらも本屋に思いを馳せてわくわくしているし。拙いながら化粧もしたし。靴だって、長い距離を歩けるようスニーカーを履いてきたし。

というわけで、外へ出ることにした。
そして、今これは帰りの電車のなかで、スマホのメモアプリにぽちぽちと入力して書いている。

今日は疲れた。今年のクリスマスは平日で、クリスマス前最後の土日だからか人がとんでもなく多かった。エスカレーターは2列で、とよくアナウンスがあるけれど、今日は警備の方が「1列で!2階は大変混雑しております!1列で!」と必死に声掛けをしているほどだった。私は流されるままどんどんエスカレーターで上の階へと上がっていって、2、3階上がったら何のためにエスカレーターに乗っているのか分からなくなった。
私って、流されるばかりの人生だ。
夫が本屋のある階で降りて、あ。そうだった。と思った。

それからお互いにクリスマスプレゼントということで、それぞれの読みたい本を1冊。それからおすすめの本を1冊選んで買った。本屋も長い列だった。後ろに並んでいる方が電話で「今列の前のあたりにいるんだけど!○○くんがほしいって言ってたのは、鉄道の本だっけ!?電車の本だっけ!?はやく聞いてみて!」と焦っていたから、ひとつ前にいた私まで焦った。

○○くんお目当ての本でありますように。
違っても○○くんに喜んでもらえますように。

みんなに幸あれ。

この寒さのせいか。
体力と気力がマイナスすぎるせいか。
私はだめだめだと落ち込む私にも、幸あれ。

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