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Vol.3/終わりの始まり

レントゲンとCT撮影を終えて30分ほど経った頃。ようやっと診察室から名前を呼ばれた。母の後ろについて、私も診察室に入る。三畳ほどの空間に机とベッドが押し込まれたようなこじんまりとした室内。机の前には、小柄な男性医師が座っていた。

「よろしくお願いします」

母と私が椅子に腰を下ろしたのを見計らってから、先生が口を開いた。机の上に並んだ3台のモニターの2つには、それぞれレントゲンとCT画像が映し出されている。先生がマウスのスクロールボタンをくるくる回すたびに、輪切りになった母の内臓を映し出した画像が切り替わっていく。何度かそれが繰り返されたのち、ある画像で先生の指が止まった。

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2,937字
胸の奥に今もまだ残る母への確執。その母の肺がん発覚。治療内容を含めて、それからのことを赤裸々に。

肺がんになった母の闘病記兼忘備録

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