Vol.4/嘘つきな正直者
声枯れの原因がレントゲンやCTだけではわからなかったことを受けて、耳鼻科受診を勧められた母。しかし、またものらりくらりとかわそうとしている。画像診断の日は、ようやく一つ終わったこともあり、一旦各々の自宅に帰宅した。
帰宅して早々に、台所の換気扇をオンにする。タバコに火をつけて、スマホでカレンダーを確認する。
今日はもう耳鼻科に行けないことを考えると、耳鼻科の休診日、土日の週末を除いて残された日数は、実質3日ほど。この間に、母は役所に行って医療券をもらってくるだろうか? その後、バックレもせずに耳鼻科を受診するだろうか? 別れ際の母の態度を思い出す。
「もうこれ以上言ってくれるな」と言わんばかりの空気をむわんむわんと放っていた。それを考えると、どうにも期待できそうになかった。
これが未成年の子ども相手なら、多少なりとも強く言えるだろうが、相手はいい大人。自分で考えて、自分の責任の下で行動できる大人である。子どもではないのだから、何度も声かけをするのは、過干渉ではないのか。どうなのか。
どこまで干渉するのがいいのか、私自身、そのボーダーラインが見えないでいる。そんな迷いを抱えたまま、スマホの画面に再び視線を落とす。
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胸の奥に今もまだ残る母への確執。その母の肺がん発覚。治療内容を含めて、それからのことを赤裸々に。
ナマポの母が肺がんになりまして
2,000円
肺がんになった母の闘病記兼忘備録
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