アルコール依存性の女 祖母の死
父の遺体は検死を終えて、葬儀場に運ばれた。
死後10日ほど経っていたので腐敗臭が棺桶の外にも漏れ出ていた。葬儀屋の担当者もマスクをしていたぐらいだった。
葬儀は親族と、父の同級生、知人数人のみの小さな式で済ませた。
悲しいけれど、ホッとした気持ちもあった。
もう父の心配をする必要はない。
恐らく家族全員が思っていたことだと思う。
初七日が終わり、大阪にいても特にすることのない私は名古屋に戻った。うどん屋のバイトも辞めていたし、名古屋に戻ってもすることはなかったのだけど。
12月、栄で買い物をしているときに母から連絡があった。母から連絡がくることも珍しい。
「おばあちゃんが危篤」
祖母はこれといって大きな持病を抱えていたわけでもなかったので、驚いた。
突然何が起こったのか分からず、でも大阪に戻った方がいいのは確かだったので再び帰阪した。
今回の帰阪は恋人が車で送ってくれた。
道中、助手席で大量に酒を飲んだ。飲みながら泣いた。大切な人を短期間で2人も失う辛さに耐えられなかった。
私が祖母の元に駆けつけたとき、祖母は既に息を引き取っていた。と、同時に私は相当酔っていた。酒酔いで祖母の遺体と対面するなんて、最低な孫だと思った。
酒は悲しいときいつも側にいてくれた。
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