アルコール依存症の女 飲むなら帰れ
「酔ってるやろ?」
某駅で子供と一緒に私を待っていた友人は、私の様子を見てすぐに酒の臭いを嗅ぎ取った。
※以降、友人はAと表記します
学生の頃からの友人で一時疎遠になっていた期間もあったが、何でも話せる唯一無二の親友だった。
酔っていることを認めるとAは呆れて「今日来ないかと思った」と言った。
たしかに何時に着く旨のメッセージなど一切送らず、朝方まで飲んでいたのだ。Aがそう思うのも無理はない。
駅近くのラーメン屋に入り昼食を取ることになった。
そこは食券式のお店で迷わず「ビール」と書かれたボタンを押そうとした瞬間、横からAが
「絶対飲まんといてよ。飲んだら帰ってもらうから」
と冷たい口調で言い放った。
それは他の誰に「飲むな」と言われる以上の力があった。突き放すような強さ。
Aの言葉に従うしかなかった私はつけ麺大盛りの食券だけを購入した。
昼食を済ませ、Aの運転で彼女の自宅へ向かった。道中は最近の私の恋愛話を聞かせろと言うので話したが、酔いで上手く話せなかった。
A宅でしばらく過ごしたあと、Aの実家へ行くことになった。私は何度か実家に遊びに行ったことがあり、Aの母親とも親しくさせてもらっていた。
そんなAの母親は大の酒好きで、毎日缶ビールを5、6本飲むという酒豪。
以前訪れたときは2人で深夜まで飲んだ。
Aの実家に上がると、Aの母親は既に飲んでいた。「久しぶり!一緒に飲もう!」と私に声をかけてくれたが、再びAが「あかん!絶対に飲ませんといて!」と阻む。
結局、その日Aと再会してからは1滴も酒を飲まなかった。いや、飲めなかった。
でもずっと頭の中で酒のことを考えていた。
飲みたい。飲みたい。飲みたい。