アルコール依存性の女 一般企業
目覚めるとまた大量の寝汗をかいていた。
しかも少し熱っぽい。
体温計で計ると37度少しあった。
コロナ禍の中、発熱で出社するのは如何なものかと思ったが一日目から欠勤は心象が悪すぎる。昨日もらったデパスと解熱剤を飲み家を出た。
初日は会社の入り口で総務の女性が待ってくれていた。
「こちらが今日から働いていただく部署です」
案内された場所は、正直どこにでもあるような会社の一部だった。
だが、私はこれまでにまともな就労経験もなく所謂、一般企業で勤めたことがないので「会社」という雰囲気に驚きもした。
部長がいて次長がいる。スーツを着てパソコンを触っている。これが一般的な会社なんだ。
都合上、どこの部署かは明かせないが社内では社員数が多い部署だ。
基本的な仕事内容は備品の補充や整理、郵便処理、新聞のスクラップ、その他頼まれたことを引き受ける、いわば便利屋みたいな立場だった。
私に仕事を教えてくれる女性は私より若く、25歳ぐらいだった。基本的にこの女性と私で役割分担をして仕事をするとのことだった。
デパスのおかげで緊張感や動悸は和らいで、初対面の挨拶も上手くやれた。
初日なので横に付いて彼女の仕事を見学するだけだった。FAXを送信したり、原稿を配ったり、あちこち動き回って付いていけるか不安になった。
この部署、よく見なくても男性が圧倒的に多いのが分かる。男女比でいうと8:2ぐらい。
良い人がいたらいいなぁ。淡い思いを抱きながら初日を終えた。
前日から酒は一滴も飲んでいない。
仕事をしっかり覚えれるまで禁酒しようと試みた。飲まなかった日はカレンダーに○をつけた。
○はいつまで続くのか。
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