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インサイトハック分析

ターゲットインサイトの発見からアイデアづくりに役立つインサイトハック分析についてわかりやすく解説します。
発見したインサイトをすべての受け手にストンと理解させる見せ方のノウハウもご紹介いたします。
ぜひ、ご活用ください。


「とりあえず、アイデア出しといて!!」のオーダーに戸惑う方はたくさんいます

皆さんは次のような経験をされたことはありませんか?

  • 「とりあえず、アイデア出しといて!!」と、上司に丸投げされて、頑張って分析資料を作ったのに「アイデアの根拠となるインサイトがよくわからない」とケチを付けられた。

  • 「なにか見本になるもの見せてもらえませんか?」と相談したのに「自分で考えて!!」と事務的に返された。

  • ネット検索でターゲットインサイトについていろいろ調べてみたけれど、結局よくわからなかった。

このような目にあった方は、さぞ、ご苦労されたことと思います。
ターゲットインサイトの見つけ方や見せ方の効果的な方法があったら、こんな目にあわずに済むのに...。
これからそれをわかりやすくご紹介いたします。

ターゲットインサイトの基礎知識

まずマーケティングの消費者分析の基本である「ターゲットインサイト」をおさらいします。

ターゲットインサイトとは

ターゲットインサイトは、「深層心理」とも呼ばれていて、普段、消費者自身は気づいていないものの、それに気づくことで、無意識に行動してしまう「きっかけ」のような心の奥にある気持ちのことです。
「心の奥から意識にはたらきかけて行動の起点となる新しい気付き」と言っても良いでしょう。

ターゲットインサイトの構成要素

ターゲットインサイトは、それを構成する情報として、大きく分けて次の5つ要素で構成されています。

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/SPThn
  • 行動の要件
    その行動が現れる前提や背景
    具体的には「目的」「理由」などの情報が該当します。

  • 行動の場面
    その行動が現れる場面
    具体的には「日時」「場所」「シーン」などの情報が該当します。

  • 行動のきっかけ
    その行動のきっかけや原因
    具体的には「きっかけとなる意識」「影響する要素」などの情報が該当します。

  • 行動の感情
    その行動が現れたときの気持ち
    具体的には「喜怒哀楽」「快感/不快感」「満足/不満」などの情報が該当します。

  • 行動の意義
    その行動をすることで得るモノ
    具体的には「利益」「利便性」などの情報が該当します。

ターゲットインサイトの事例

ex.洗濯物の取り込む際に、無意識に服のニオイを嗅ぐ主婦の行動から発見した、新しい洗剤のターゲットインサイト

  • 主婦は、乾いた洗濯物を取り込む時、無意識に洗濯物の臭いを嗅いでいる。

  • 主婦が洗濯に求めているのは「服に染み付いたニオイまで取れる強い洗浄力」だった。

  • ターゲットインサイトは「染みついたニオイまで取れる洗浄力」

  • このターゲットインサイトから開発された商品がライオン「ナノックス」

ターゲットインサイトの発見に役立つマーケティングリサーチ

まずは何とかターゲットインサイトを発見しなければ先に進むことはできません。
ターゲットインサイトの発見そのものは、とても奥が深く多岐にわたります。
こちらではターゲットインサイトの発見に役立つマーケティングリサーチの代表的なものを紹介します。

代表的なマーケティングリサーチ

  • グループインタビュー

  • デプスインタビュー

  • エスノグラフィ(行動観察調査)

  • ソーシャルメディア分析

  • MROC(Marketing Research Online Community)

  • ニューロリサーチ

  • その他

くわしくはこちらをご覧ください。

インサイトハック分析のフレームワーク

いよいよターゲットインサイトの分析に進みます。
ここでは、リサーチで得た情報をインサイトハックのテンプレートに落とし込んでいくことをとおして、「発見できたインサイトはどういうものなのか」、「インサイトからどのような仮説が立てられるのか」を追求していきます。
この分析を「インサイトハック」と呼びます。

インサイトハック分析のテンプレート

インサイトハック分析はユーザーデプスインタビューなどで入手した、消費者の意識や行動の実態をひとつひとつを読み込み、そこから共通点や差異点を解析して、総合的にターゲットインサイトの姿を類推していく分析方法です。

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/SPThn

横軸はサンプルのプロファイル情報とインサイトの5つの構成要素です。
縦軸はサンプル数です。
サンプル数が多ければ多いほど、さまざまなインサイトの種を集めることができます。
サンプル数は最低いくつなければならないということはありませんが、多く確保できるほど相応の信頼度を担保できるでしょう。
このテンプレートに、インタビューで聴取した情報を項目別に分類し、回答内容のエッセンスを簡潔に入力していきます。

インサイトハック分析のテンプレート記載例

テンプレートの記載例です。
こちらのインサイトの探求テーマは「今どきの男の洗濯」としました。
こちらでは独自に実施した「今どきの男性の洗濯行動」に関する調査の結果を活用してテンプレートを記載していきます。
この調査は洗濯関連商品の新たな需要の掘り起こしを目的として実施したものです。

テンプレート記載例の調査概要

  • テーマ
    「今どきの男の洗濯」

  • 調査名称
    「男性の洗濯の実態に関する調査」

  • 目的
    男性の洗濯に関わる意識と行動を調査し、洗濯関連商品の新たな需要の掘り起こしに関わる情報を収集する。

  • 調査方法
    デプスインタビュー調査

  • 対象
    10代~60代 首都圏在住の男性

  • 調査実施
    マーケティングのススメ

以下がテンプレートに調査対象者の情報を記載した状態です。

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/SPThn

横軸の一番左の「No」から「悩み事」までは、調査対象者のプロフィールです。
対象者のペルソナがイメージできるよう、ある程度の臨場感を持たせて記載するとベターです。
横軸の「対象行動(要件、場面、きっかけ、感情、意義)」はターゲットインサイトの対象となる行動を具体的に記載します。
対象者固有の意識や行動にフォーカスして記載するとベターです。

インサイトハック分析例

ターゲットインサイトの発見に進みます。
大きく3つのステップで実施していきます。

  • STEP-1 共通点と差異点をピックアップ
    対象者の意識と行動をひとつひとつ読み込み、対象行動の共通点と差異点を分類します。

  • STEP-2 ターゲットインサイトの考察
    共通点と差異点それぞれの、ターゲットインサイトにつながる要素を類推し、キーワードやセンテンスを洗い出します。
    キーワードやセンテンスの洗い出しは、次の視点で実施します。
    ・新規性が感じられる
    ・独創性が感じられる
    ・希少性が感じられる
    ・おもしろい
    ・常識に縛られない

  • STEP-3 アイデアづくり
    ターゲットインサイト分析から、マーケティングとして実行できる活動を連想し、実行アイデアへと落とし込みます。
    ・時代や社会環境との親和性
    ・企業や商品ブランドとの親和性
    ・ターゲットとの親和性
    ・競合や代替品との差異化
    ・実現可能性
    ・収益貢献度

実施例はこちらです。

STEP-1 共通点と差異点をピックアップ 

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/SPThn

対象者のコメントで共通点をイエローに、そして差異点をピンクにマーキングしています。
対象者の皆さんが、洗濯に苦労している状況がわかります。
また、一概に洗濯と言っても、求めることが人それぞれであることもわかります。

STEP-2 ターゲットインサイトの考察

続いて、ターゲットインサイトの考察に進みます。
次のチャートをご覧ください。

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/SPThn

ここでは、「独身男性でも失敗しない」と「家族に喜ばれる」と言う2つのターゲットインサイトを発見しました。
独身男性の方は、身に覚えのある心理なのではないでしょうか。

STEP-3 アイデアづくり

いよいよ最終プロセスです。
ターゲットインサイトからアイデアを創造していきます。

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/SPThn

ターゲットインサイトから、4Pそれぞれのアイデアを導き出してみました。
マーケティングのテーマは「男性専用洗剤カテゴリー」という新商品カテゴリーの創造です。
ブランドキャラクターは、大手IT企業の独身エンジニア男性として、将来的にはグローバルブランドへ成長させることにチャレンジします...。

と、フィクションではありますが、このようにインサイトハックのフレームワークやテンプレートを活用して、ターゲットインサイトを掘り起こし、マーケティングアイデアを創造することができます。

インサイトハック分析のチェックポイント

インサイトハック分析で重要なチェックポイントを解説します。

インサイトハック分析で扱う情報の正確性や鮮度は適切か?

インサイトハック分析のフレームワークでは、ターゲットインサイトを掘り起こすリサーチ以外に、市場、業界、競合、ユーザー、テクノロジー、サービスなどの様々な情報を活用することになります。
ここで重要なことは扱う情報の「正確性」と「鮮度」が適切なものかということです。
フレームワークを有効活用しても、そこで扱う情報やデータが、事実と乖離していたり、古い情報であったりした場合、考え出される仮説の価値がとても低いものになってしまいます。
特に、テクノロジーやサービス分野の情報は、情報の更新が速いので、注意が必要です。
インサイトハック分析に取り組むときは、マーケティングの専門性と信頼性の高い情報源を活用するようにしましょう。

  • 情報の正確性
    出典が明らかな情報を使用しましょう。

  • なるべく一次情報を使用しましょう。

  • 専門性が高く、信頼できる情報源から入手しましょう。

  • 情報の鮮度が新しい情報を収集しましょう。
    リリース後、1年以内の情報を使用しましょう。

おすすめの情報源

マーケメディアは㈱マーケメディアが運営するマーケティングデータベースプラットフォームです。

出典:マーケティングのススメ https://x.gd/hrwZN

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インサイトハック分析に役立つおすすめ情報

これらの情報が皆さまのビジネスのお役に立ちますとうれしいです。
ぜひ、ご活用ください。


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