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【徒然草考:第三十七段】人づきあいのたしなみ

徒然草を読み解きつつ人生のたしなみを学びなおす「徒然草考」。
第三十七段をお届けします。


第三十七段:人づきあいのたしなみ

原文
※古文体が苦手な方は読み飛ばして現代語訳におすすみください。

朝夕、隔てなく馴れたる人の、ともある時、我に心おき、ひきつくろへるさまに見ゆるこそ、「今更、かくやは」など言ふ人もありぬべけれど、なほ、げにげにしく、よき人かなとぞ覚ゆる。
疎とき人の、うちとけたる事など言ひたる、また、よしと思ひつきぬべし。

現代語訳
※著者の個人的な解釈による現代語訳です。

いつも一緒に過ごしているようなごく親しい人が、ある時、私に気を遣って、普段とは違う丁寧な様子を見せることがある。
「今さらそんなことしなくても」と考える人もいるかもしれない。
しかし、私はそこから、その人の誠実さを感じ取り、「あぁ、素敵な人」だなと思う。
また、普段はあまり親しくない人でも、何かのきっかけから、打ち解けて話しかけてきてくれるのも、「あぁ、素敵な人」だなと思うのである。

相手への思いやり、人の良いところを見つける姿勢

徒然草の第三十七段は、何気ない人間関係における心の機微を切り取って、相手への思いやりと、人の良いところを見つけようとする姿勢について教えてくれます。

いつも一緒にいる人だからこそ、ちょっと改まって丁寧な言葉遣いや態度を示すことで、相手が自分を大切に思ってくれているという気持ちが伝わりますね。
その一方、普段あまり話さない人が、ちょっと工夫してくれて、打ち解けた雰囲気で話しかけてもられるのも、新しい人間関係が生まれたようで素敵に感じますね。

ある思い出「ゴルフの教え」

徒然草の第三十七段を味わっていて、私は昔々のゴルフを思い出しました。
当時は仕事のお付き合いでよくゴルフをしました。
ただし、ゴルフにはやっかいな面がありました。
同伴者によって、スコアやプレーの仕方でストレスを感じたり、人間関係に困ったりすることが多々あるのです。
ゴルフは人間性が出やすいんですね。
親しい間柄でも、相手の失敗をからかったり、自分のスコアに夢中になっつて、マナー違反を繰り返したり…など、よく見かけました。
また、初対面の方とのラウンドでは、新しい発見があったりもします。
「なるほど、こんなところに注意しているんだ」など、相手の考え方やプレーの良いところを見つけようとすることで、自然と会話が弾んで人間関係が深まったりします。

私は、仕事兼ゴルフの師匠から、ラウンドのたしなみとして、次の3つを学びました。

  1. 出会うすべての人にていねいな挨拶をする。

  2. 言葉遣いを「です。ます。」に整える。

  3. 物を見る順番は、1に全体の状況、2に同伴者の状況、3で自分の状況。

ゴルフは、単にスコアを競うだけでなく、その振る舞いやコミュニケーションを通して人間性を磨くスポーツでもあります。
相手への思いやりと、人の良いところを見つけようとする姿勢は、ラウンドをより有意義に、そして思い出深いものにしてくれます。

もちろん、ゴルフに限らず、どんな人間関係においても、この考え方は当てはまると思います。
仕事のパートナーとの関係や、家族との関係など、様々な場面で、相手への思いやりと、人の良いところを見つけようとする姿勢を持つことで、より良い人間関係を築くことができるのですね。

しかし、人間は忘れる生き物。
気が付いたらぞんざいな振る舞いになってしまっていることもしばしば。
いやはや、気を付けたいものです。

そう言えば、わたしは、もう5年ほど、家族全員を「さん付け」で呼ぶようにしています。
最初は多少違和感もありましたが、それが定着した現在では、そんなちょっと丁寧な人間関係を気に入っています。

終わりに

お付き合いいただきありがとうございました。
徒然草を題材に、あれこれ想いをめぐらすことは、ことのほかおもしろいですね。
徒然草を読んであれこれ考えてみたいという方におすすめの書籍をご紹介させていただきます。

電子書籍版の徒然草はこちら

オーディオブック版の徒然草はこちら

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
こちらの情報がお役に立ちましたらうれしいです。

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