
【とあるシードスタートアップの1年の振り返り】やってよかったことと反省
気づけば5年、noteを書いてませんでした。時の流れが恐ろしい。
お久しぶりです、Nehan株式会社で生成AIを活用して公共営業の生産性を向上させる「Labid」というプロダクトをやってます、鶴巻です。
※このnoteの前提ですが、プロダクトとしては入札/落札情報のデータベースです。
さて、この5年でいつの間にやら起業し、資金調達をし、しっかりとスタートアップの道を歩んでいます。
会社自体は実はすでに4期目なのですが資金調達をしたこともあって今年が実質の創業1年目のようなテンションでやってます。
なので今日はこの1年間を振り返ってシード期のスタートアップとしてやってよかったこと、もっとこうすればよかったこと、という観点で振り返りをしていければと思います。
年末の自分の頭の整理もありますが、読んでみて興味ある!という方は是非是非お声がけください🙏
※思いつく限りで書くのでとりとめはありませんご容赦ください笑
Good💪
まずは環境的な部分でよかったことです。
資金調達をした
リリースを出していないのですが実はmintさんから今年の3月に資金調達をしました。
資金調達したことで打ち手も広がり、かつ緊張感もうまれ一気にギアチェンジしました。
スモビジ論争や調達しない方が良い論争なども盛んだった1年のように思います。
が、我々としてはものすごい責任が生まれましたが、結果的によかったです。
オフィスを借りた
そしてこちらもmintさん関連ですが今年8月からmintさんの運営する「ivy」に入居させてもらってます。
優秀な起業家の皆さんと切磋琢磨できる環境で最高です。あとシード期には絶対借りられないクオリティのオフィスなのも最高ですw
そして何より今までリモートだったところから出社をベースにすることで下記は明確に変わりました。
個人の生産性
コミュニケーションの頻度と速度
熱量というか空気感
やはりリモートだとどうしても仕事にフルで集中できる環境じゃない(子供がいると尚更)、コミュニケーションも非同期になりがちで空気感も伝わらないので難しさを感じてました。
出社することでmtgなどはもちろん、ちょっと雑談する、コンビニ行く、など合間合間でもコミュニケーションが生まれることで意思決定の速度、質も上がっている気がします。(割とドライじゃなく仲良しめな空気感のチームなので尚更隙間時間とかのコミュニケーションが有効だと思っている、学校の休み時間的なやつですw)
なんだかんだ大手も出社回帰のニュースが続きますが、出社という社会人としての原理原則が最強です。
とはいえリモートも恩恵はあると思っている派なので、まだまだ出社×リモートの最適解探しの旅は続きそうですw
ちなみにmintさんのオフィスは投資を受けていなくも創業期の企業は入れるのでご興味ある方はこちら✌️
https://gentle-mallow-040.notion.site/FLAP-f7942ecf22fe4986b7730d22f67f2d9d
社員の採用
フルコミットの社員がいることの尊さを痛感しました。
実は今までCOOの木嶋もフルコミではなく、エンジニアの正社員も無しの状態でした。
そこから木嶋もフルコミ、10月には池水(プロダクトない時から業務委託で手伝ってくれていた)もジョインしガラッと変わりました。
何より自分ができることがなさすぎて絶望しましたw
2人ともほんとすごい
特にエンジニアのフルコミットがいない状態から、
自分でも土日含めコード書きまくる
開発メンバーのマネジメント
エンジニアのリファラル採用
飲み会で営業してリード取ってくる
というガチでなんでもやる池水がジョインしてくれたのは超絶モメンタムでしたw
ということで今までは業務委託中心だったのもありますが、フルコミットでしか生めない熱量、みたいなものがあることも実感し、来年以降はしっかり社員採用も進め組織を作っていきたいと思っています。

次に事業面的によかったことです。
仮説/マイルストーンの設定を癖づけた
当たり前じゃん、と思われそうですが恥ずかしながら全然できてませんでした。
後述の反省もこの姿勢が足りなかった故に生じる反省なのですが、それらを乗り越えて2024年後半は改善してきました。
mintさんと定例をするようになりGPの白川さんからも
「今は何を検証している期間なのか」
「どうすればそれが達成したと言えるのか」
といったことを口酸っぱく(?)問うていただき、この言語化、検証が癖づいてきた感覚があります。
行き当たりばったり、かつかなり感覚的に意思決定していたところから少しづづ変化を生め、かっこよく言うのであれば経営力は少しだけですが上がってきた感があります。
商談数をとにかく増やした
とにかく仮説検証するため、商談数の最大化に注力しました。
そのために、
オウンドメディアの立ち上げ
フォーム、テレアポなどアウトバウンド
の2点に注力しこの2つの施策だけで毎月30件前後の商談が獲得できるようになってきました。
結果的に仮説検証も回る、初期顧客の獲得も実現できるようになる、などいいことづくしでした。
特に良かったのは下記2点です。
オウンドメディアも100件以上の記事を木嶋、鶴巻自分たちで書き上げ、サイトもstudioで自分たちで実装する(毎日1人1記事書く、というKPIを決めて3ヶ月くらいで増産しまくった)
フォーム送信、テレアポも木嶋中心にまずは自分でやる、を徹底したこと
正直かなりめんどくさいし心理的ハードルも高いので多くの会社がこの2点は外注しているように思います。少なくとも創業者が自分でやってます、はかなり少ないんじゃないでしょうか。
ただ、実際にこれをやると創業者のドメイン知識も圧倒的に上がる、どんな訴求でアポにつながるのか、何が課題かなどの一次情報取得が大量に出来る、など創業期としてやるべきこと全てにリーチが出来ました。
リストを作る作業も地味ですが、「どのような企業が顧客になり得るか」の解像度が抜群に上がりました。
そして何よりめちゃくちゃ安く済みますw
また、オウンドメディアに関してはかなりの有名企業からも「これだけの量、質の記事をどう書いてるんですか?」「いつも参考にしてます」など数字以上に嬉しい言葉ももらえるようになってきました。
現フェーズでは効率性が〜とか、CxOが使うべき時間は〜とかカッコつけずに全部やるが正義だと思いました。
※「CEOがテレアポしてきてビックリした」と商談したお客さんに言われたので来年以降はもちろん仕組み化を頑張りますw

外部開発会社への投資
実は調達した金額の1/3近い金額を投資しました。
だいぶ思い切った判断だったのですが結果的にこの投資があったことで売上が立ち始めました。
ここで思い切って判断できなければいまだに立ち上がっておらずそのほかの検証スピードも相当落ちていると思います。
「売れると思うなら小さくまとまらず踏み込め」と背中を推してくれたmintさんに感謝です。
が、いろいろな課題もたくさん出てきてしまっていて「本当によかった!」という感じでもないのは事実(社内的な問題であって開発会社のせい、とかではないです)なのでもしご興味あれば個別お話ししましょう笑
来年はこの投資に後悔して寝込んでるかもしれません、そうならないよう頑張ります。
よかったこと総論:まずは自分たちでやってみる、を徹底した
なにはともあれ商談数増加のパートで記載したような結構な地味なことを自分たちでやりまくった1年でした。それが一番良かったです。
たとえば我々の事業特性上、入札/落札情報を収集する必要があるのですが、そのために官公庁、全自治体、外郭団体など2000件以上のHPを目視で確認してリスト化する、といった作業も鶴巻、木嶋で行ってます。(マジで辛いほんとに辛い)
結果的にどの自治体がどのくらい入札を出すのか、どういう入札の出し方をするのか、など細かいこともなんとなくわかるようになり商談時にもその知識を活かせたりするので、まずは手を動かしてドメイン知識や現場感を掴むことの大切さを痛感した1年でした。
来年もこの姿勢は崩さずやっていこうと思います。
More😢
いまいちだったこと、というかただの反省点です。
これはもうプロダクト開発全般やらかし倒しました。
自分にプロダクト開発のバックグランドがないことが要因ですがほんと手探りすぎてエンジニアのみんなを振り回しまくりました、ほんとごめんなさい。。。
紙芝居(パワポ)で売る、に拘りすぎて開発開始に躊躇した
世間で確実に言われるやつ、売れるまで作るな。
素直な我々はこれを愚直に徹底しようとしてなるべく開発着手を遅らせようとしてました。
が、これをやった結果としては得るものが少なくなっただけ、という印象です。
もちろん概念としては絶対的に正しいと思います。
ただ、事業特性を見極めてどのようにバーニングニーズを判断するのか、を決め切らないといけなかったと反省しています。
単純に紙芝居で売れるまで作らない、を適用したのは事業進捗が遅くなっただけでした。
例えば弊社で言うと、顧客からお金をいただくには
入札/落札情報が網羅されているデータベース
AIを活用して検索や案件精査の時間を大幅に短縮するアプリケーション
としての2つのコア価値が必要になります。
ただ、紙芝居の状態だとお客様からするとコンセプトは良さそう、でも結局、データがちゃんと入ってるのか、AIの精度を見てからじゃないと判断できない、という状態が続きました。要はコンセプトに共感してもらえる、という一つのステップはクリアしたものの、機能に価値を感じてもらえるか、の検証はずっとできない状態が続きました。
これ今振り返ると当たり前なのですがこの状況だとどんなにコンセプトはお客様に刺さってもどうしても「投資をする」という意思決定はしてもらいづらいです。
ペライチ創業者橋田さんのBOOTUP RADIOでもこの話が取り上げられており、Chat GPTがコンセププトだけで売れるかと言う売れない、と言う話が非常にわかりやすかったです。
そのため、開発着手までに「売れるまで」というざっくりした指標ではなく、「何が/どう検証できたら作り始めるのか」を考え尽くしておくべきでした。
その後、コア価値(AI機能)の検証は少し実装、足りない部分は手作業でスプレッドシートを用いてやる、という方向性に切り替え、価値を感じてもらえる、という判断ができたのは非常に良かった点です。
※データベースの価値は競合が一定水準まで成長せいていることから、検証するまもなく価値がある、と判断して進めました。
はやく実装する、という判断をすればよかったです。
MVPに囚われすぎて手戻りが多発した
上記に付随してプロダクト開発に遅れが出たことから「とにかくMVPとして早く出さなきゃ」と気持ちが先走った結果、手戻りが多発しました。
そもそも、我々の領域で言うとMVPという概念を持つのが非常に難しいです。
前述のデータベースとしての価値が大前提必要になり、かつこの開発が一番時間がかかるため、「やる」と決めたらここは一気に作り切るべきでした。
ただ、その覚悟を決めきれず「これはMVPだから」という言い訳をしながら、できそうなところから着手、プロダクトビジョンも非常にふわっとしたもので開発を進めた結果、そこらじゅうに応急処置が施されたツギハギだらけのようなプロダクトが出来上がりました。
方針変更も多発し、エンジニアの皆様には大変にご迷惑をおかけしました。
結果的にUI/UXも全て作り直すという意思決定をし、デザイン面も含め大幅に刷新を進めています。
が、このプロセスを経て来年1月以降、めちゃくちゃいいものが出来そうです!
プロダクトに関する定量的な判断指標がなかった
プロダクトを出した以降に関しても明確な指標、それらの計測体制、と言うのが作れておらず判断が後手に回ったことも反省です。
後手どころかヒアリングベースで聞いた定性的な情報から「なんとなく」判断するしかない状況がつづいてしまいました。
当然、定性的な指標に対してもある程度の判断軸は設けていましたが、来年以降はしっかりと定量指標を計測し改善できるようNSMの設定なども進めていく予定です。
"いい人(CEO)"であろうとした
これは個人的な反省ですがメンバーの顔色を伺い、「嫌われないように」しようとしすぎていたな、と思いました。
最近、新卒で入社した会社の代表とランチをさせていただく機会があり、これを自身の反省点として挙げられていたのがとても印象的で自分もそうだなと反省しました。
経営者の仕事は自分の信念を貫いて会社の進むべき道を決めること、会社に流れる時間軸を早くすること(1ヶ月でやる予定のものを1週間でやれ、と要求し実現させる強さ)、ということをおっしゃっており全く出来ていなかったなと。
コトにしっかり向き合っていけるようにならないと、強く思った次第です。
色々書きましたが1年やってみて思ったのは経営に飛び道具はない、ということです。
定量的かつdailyで細かく数値を確認し、改善する
テレアポも営業もとにかくまずは自分でやってみるなど現場主義を貫く
今のフェーズはアライアンスやイベント、キーマン採用など飛び道具的なものに飛び付かず、当たり前のことを当たり前にやり顧客に向き合う。
尊敬する経営者の皆様もから似たような話をお聞きすることが多く、「そういうものなのだろう」と腹落ちした1年でもありました。
来年の抱負
来年はとにかく「人」に会う1年にしたいと思っています!
まずはPMF目指してお客様に会いまくる、既存ユーザーの皆様とのお話しの機会を増やしていきます。
そしてファイナンスも検討していく必要があるため、VCの皆様ともお会いしたいと思っております!
もしご興味お持ちいただけましたらお気軽にお声がけいただけると嬉しいです!
最後に宣伝
最後にめちゃくちゃ宣伝ですが、2025年2月5日(水)より渋谷にて「公共営業交流会」を開催予定です!
営業の交流会は多々あれど「公共営業」の交流会は超レアかと思います!
ぜひこちらもご興味ある方いらっしゃいましたらご参加いただけると嬉しいです!
※今回は自社で公共営業を行なっている方のみが対象となります、支援会社の方のご参加はお断りしておりますのでご了承ください