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掌編というより小片と言いたい

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#青春

愛した姿はそこになく

愛した姿はそこになく

 この部屋が昔、音楽室として使われていたことは、ほんのつい最近知った。よくよく見れば、錆かけの本棚の中に、薄汚れた楽譜が何冊か、積み重なっている。まあ、そんな物を見つけていたところで、きっと私は全部先輩の持ち物だと、勝手に勘違いしていただろう。片足の無い机の上に置かれた電気ケトルも、棚の中に置かれたオルゴールも、なんだかよくわからない分厚い本も、全て先輩の物なのだから。
「祖父の教え子がね、この学

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骨時計の約束

 旧校舎の二階。扉を開けると水を吸った木の匂いと、たまったほこりの匂いが鼻腔を擽る。開かずの棚の道の奥。二つ並べた古びた机の寝台。そこがあいつの特等席。
「寝てんのか」
 窓から差し込む、午後の日差しを浴びながら、あいつはゆっくりと顔をこちらに向けた。
「起きているよ。お前の足音は騒がしい」
「じゃあそれらしくしろよ」
 ん、と小さく返事をして、友瀬は体を起こした。足の高さが不ぞろいな机が、ガタガ

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