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桃谷蛙月
2019年10月22日 19:18
旧校舎の二階。扉を開けると水を吸った木の匂いと、たまったほこりの匂いが鼻腔を擽る。開かずの棚の道の奥。二つ並べた古びた机の寝台。そこがあいつの特等席。「寝てんのか」 窓から差し込む、午後の日差しを浴びながら、あいつはゆっくりと顔をこちらに向けた。「起きているよ。お前の足音は騒がしい」「じゃあそれらしくしろよ」 ん、と小さく返事をして、友瀬は体を起こした。足の高さが不ぞろいな机が、ガタガ