この世界ではんぶんを生きたあなたを悼む。




先日、kobayashi muさんの『てんとう虫』という記事を読みました。

娘さんが小学生の頃、筆箱の中に入れて持って帰ってきた二匹のてんとう虫の幼虫を羽化するまでを大切に育て、飛び立つまでを描いた素敵なエッセイです。10年を経て、てんとう虫が飛び立ったように娘さんもこの春、新しい世界へと飛び立ちます。

記事はこちらです。
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こんな素敵なエッセイの後に書くのは勇気がいりますが、同じような出来事が私にもありましたので、書かずにはいられませんでした。


それでは、はじめます。


長男が保育園児だった頃、保育園に迎えに行くと、ビニール袋に入ったオスのカブトムシを私に見せてくれました。


どうやら保育園の外遊びで、近くの林へ行った時に捕まえてきたようです。


早速、飼育セットをホームセンターで購入しカブトムシをケースに入れました。


1匹では可哀想という息子の言葉に、鼻の奥から汁が出そうになるのを押さえ、仲間を探しに行く事にしました。


カブトムシは夜に活発になるので、森のそばにある夜の公園に行きました。公園の駐車場には数台の車が止まっており、その中にカップルらしき人影がチラホラ見えたので「カブトムシを捕まえたらすぐ帰るから私たちが帰るまで車を揺らすんじゃあねぇぞ」と念を送り、夜の公園へ向かいました。


光に集まる習性があるので、自動販売機や公衆トイレで探しました。案の定、自動販売機のボタンに張りついていたり、公衆トイレの横にある外灯の周りをブンブン飛びまわっていました。


ブンブン飛び周っているカブトムシがたまに、スコーンと落ちてくるのでそれを捕獲します。公衆トイレの壁や自動販売機に張りついていたカブトムも捕獲しました。


カップルたちが乗った車が揺れていないのを確認し、公園を後にしました。


捕獲したカブトムシはオス1匹とメスが3匹。大きめの飼育ケースなので、そこに全部入れました。息子が捕まえてきたオスを合わせてカブトムシは5匹となりました。


はじめは戸惑っていたカブトムシたちでしたが、次第に打ち解けはじめましす。好みの相手を見つけ、マッチングした相手と透明なケースの中でミシミシ音を立て、公開交尾をしていました。


公開交尾から2週間くらい経った頃、土も汚れてたのと、ある目的もあり土を新しいものに交換する事にしました。新聞紙の上に土を広げ、土に潜っていたカブトムシをいったんケースに入れました。


土の中にある目的のものを探します。見落としがないよう山になった土を新品の割り箸で丁寧に掘ります。すると、小さな白い玉が出てきました。


カブトムシの卵です。


カブトムシを卵から育ててみたかった私は、嬉しくて卵を割り箸で潰しそうになりましたが、そこは押さえました。


土の中には、計6個の卵がありました。


他にもカブトムシの角や足なども見つかり、それは土と一緒に新聞紙に丸めて捨てました。

6個の卵は土を入れた透明のカップを6つ用意し1個づつ入れました。


4匹になったカブトムシたちはその後、次々と寿命を迎え、最後に残ったメスは自然へと帰しました。


結局、卵は最初の6個だけでした。


その後、6個の卵は無事に孵化し、順番に幼虫へとなりました。6匹の幼虫は少しずつ成長していきましたが、少しずつ消えゆく命もありました。


そんな中、1匹だけが健気に生き残ってくれました。


生き残った1匹の幼虫はぐんぐん大きくなり、入れ物も大きな透明のビンに移しました。


ビンの中でモゾモゾ動く姿がとても愛らしかったです。


幼虫は土をよく食べ、よく排泄もしました。土の交換の頻度をあげ、息子も手伝っていたのですが、ぐんぐん成長する幼虫を見て「こわい」と言葉を残し飼育係を離脱しました。


残った飼育係の私は、その命が消えないようにビンの中の幼虫の世話と観察をし続けます。


月日が流れ、幼虫は何事もなく冬を越すことができました。


春になり幼虫の動きが鈍くなってきました。鈍くなるのは、サナギへと変わるサインです。羽化に備え、ビンから飼育ケースへ慎重に移しました。


1週間くらい経った頃でしょうか、ケース越しに幼虫の姿が見えなくなったのでもしやと思いそっと土を探ってみたら無事にサナギになっていました。


あとは羽化するのを待つだけです。


サナギになってからどれくらい経ったか忘れましたが、ある朝ふとケースを見ると、カブトムシの姿を確認しました。羽化したのかと興奮し、ケースに近づきました。


小さいけど立派な角が出ており、オスである事に益々興奮しました。だけど何か様子がおかしいのです。


カブトムシって真っ黒だよな…


はんぶん羽化した状態で息絶えていました。

( TДT)


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