見出し画像

苦手なモノは、知らないモノ

今月になってようやく、今年の数々のゲーム賞を受賞した話題作「バルダーズ・ゲート3」の日本語版が発売された。
ダンジョンズ&ドラゴンズというボードゲームをもとに作られているので、なじみの薄い日本で大ヒットは難しいのではと言われているけれど。
世界的に大ヒットしている理由を自分なりに考察してみると、日本人、それも特に苦手だと感じる人にこそ必要なゲームなのではという気がしてくるのだ。

多種多様な種族が生きている世界の中で、どうすれば自分の思う通りの結果を得られるのか。
自由度の高さは=自主性の高さにつながる。受け身ではいられないのだ。
そして会話が重視されるのは、多種族=「暗黙の理解」が通用しない、から。

私たちは、日本という島国で単一民族の中で暮らしているという環境ゆえに、なかなか得るものが難しい能力の一つに「交渉力」がある。
共通の理解があるからこそ、言葉にしなくてもわかってもらえるという安心感のもとに生活している。
交渉しなくても、少し我慢することはあってもそれほど不便なく暮らしていけるのだ。

けれど、めまぐるしく移り変わる時代の中で、これから先一生涯を日本の中だけで暮らしていける人はどれくらいいるのだろう。
南海トラフはいつか必ず起こると言われている危機だし、最近スピ界でよく言われている2025年7月に大災害が起こるという話も、実のところは日本人の多くが根底に持ちつつ目を背けている「いつか何かが起こって日本に住めなくなる」という恐怖感をすくい上げた物のような気がする。
大災害に備えて備蓄するのもいいけど、それよりも「どこに行っても生きられる
」ようにした方が現実的なのではないだろうか。

他の国で暮らすことになった時、まず真っ先に必要になる力は「交渉力」だと思う。
そしてこれこそが、多くの日本人が環境ゆえにラクをして育ててこなかった力でもある。
知らないからどうやっていいかわからない、経験値がない、面倒臭い、、、
知らないのは、周りでやっている人がおらず見聞きする機会がないからだ。

じゃあどうやったら交渉力を身につけることができるようになるだろう。
座学で学ぶより、いきなり実地で体当たりするより、もっと効率的なのがゲームで体験することだと思う。
勝間和代さんがボードゲームで交渉力を育てることを推奨されていたけれど、ゲームとはいえいきなり人相手はハードルが高い。
だったら「バルダーズゲート3」のような説得のシミュレーションも含まれたソロでできるゲームがいい。

ここ数年は苦手だと感じる、興味はあるけど手を出してこなかったゲームを中心にプレイしてきた。
実際にやってきた中で感じたのは、「苦手なものほど、できるようになった時の喜びは大きいし、成長もより多く感じる」ということ。
もちろん得意なことよりも時間は余分にかかるけれど、できるようになったことで得られる世界の広がり方がダンチガイな気がする。
苦手なこと、すぐにできないことは、知らないことだ。
知らなかった世界に足を踏み入れるためのパスポートは、やはり根気である。
まず間違いなく最初は全然うまくいかないし、そんな状態でおもしろいと思えるわけがない。
その状態で踏みとどまってもう少し先を続けると、少しずつ理解が追いついてくる。
全体を把握することができ、思うようにやれるようになれば、その経験が次の苦手攻略に生きてくる。
すぐにうまくできなくても必ずいつかはできるようになる、わかるようになるという経験が蓄積されていく。
こういう過程を敷居の低い形で体験することができるのも、そもそもがゲームという楽しんで遊べるものゆえのメリットだと思う。

私自身、まったく「交渉力」を育てないで生きてきてしまった。
ゲームを通しての苦手意識克服、次の目標が定まったところで年の暮れ。
来年は辰年でもあり、「バルダーズゲート3」を通しての意識改革がどんなふうに現れるか、今から楽しみだ。(Rim worldをクリアしてからになるけどね)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?