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キーマカレーは彼の味


雨上がりの朝は、私が消えちゃうくらいまぶしくて、羨ましかった。太陽が照明を当ててくれているおかげで、草木の濡れた輝きが光を反射させて、いつもより何倍も存在感をかんじられた。
誰かに引き立てられて美しく魅せることは、本当に幸せなのだろうか。私が元々の持っている美しさに気づけていないだけなんだろうか。

お昼は、食堂でキーマカレーを食べながらずっと好きな彼を見ていたから、キーマカレーは彼の味。とか変態すぎるキャッチコピーを考えてしまって、キーマさんにもカレーにも彼にも申し訳なくなった。

当然ながらキーマは作った人の名前だと思ってた。無知だった。


つかれた授業終わりに、そのキーマ彼ェ〜と少し喋っただけで睡眠不足はふっとんだ。声をかけたら頬を緩ませてくれる、そのキーマ彼のいくつかの表情筋による小さな運動変化にも気づけちゃうのは4月から想いを寄せている日々の観察の賜物だと思う。
1日だけ彼と入れ替わってみた!とかしても、余裕で彼の友達や家族にバレず、完璧に彼として過ごせる自信が謎にある。

そして今思いついたのだが、彼のことをこれからキーマ彼と呼ぶことにする。あだ名とか合ったほうがぜったい楽しい、これを読んでる人にしか分からない、暗号みたいな、ユーモアある名前って、ちょっと「身内感」があって特別な感じがする。

ユーモアは違うか。。

キーマ彼 の顔を思い浮かべながら キ ー マ 彼 と呟くと、なんともいえない感覚に陥る。キーマという言葉がつくだけで、彼の端正な顔立ちが、心なしかインド映画の主人公っぽくなるような気がしてしまうし、彼の得意料理がカレーとか、趣味がカレーのルー目利きとか、ナンを作ること、とかそんな風に思えてしまって、私の好きな人って「キーマ彼」だったんだ、って。そもそもキーマは「細かいもの」なのに、キーマって言葉のイメージがそうだからってなんか彼の魅力がカレー色に染まりそうな気がしてしまうのだ。

一度、大切な人の名前にキーマをくっつけて思い浮かべてほしい。

昨日は、お気に入りの服を着るって言っちゃったけど、雨で着れなかったから、明日こそは着たい。

明日も 彼 と話したい。

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