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お風呂とわたしと創作と

OLをしながらエッセイを書いたり、ごく稀にWeb記事を書いたりしているわたしは、誰がどう見てもクリエイターの端くれだ。

ただ、端くれだろうとプロだろうと、小さな小さなプライドは持ち合わせている。わたしの持てるすべての技術と知識と経験を詰め込んで、一つの作品に取り組んでいるのだが、やっぱり企画はすべてだと思う。


他の人の脳は見たことがないけれど、わたしはきっと他の人よりもたくさん脳を働かせている気がする。いろんなことが気になって、いろんなことに興味を持って、いろんなことを知りたくなる。頭の中はいつだって、何かしらがグルグルしているのだ。

普段からグルグルしているから、グルグルしているのがスタンダードになりつつあって、グルグルなわたしからは実は、あまりいいアイディアは浮かばない。忙しなくグルグルしている頭を落ち着かせるために必要なのは、お風呂だ。


わたしはお風呂が大好きで、時間があればずっと浸かっていられる。最近、三十分以上の半身浴は効果がないし、逆に眠れなくなる上に体に負担がかかるからやめた方がいいと言う記事を読んだ。なんだか悲しい。


お風呂の中にちゃぷんと浸かると、一気に体が包まれたように温まる。ふう、と大きく息を吐くと、グルグル回っていた頭がようやくゆっくり、少しずつ、滑らかになっていくような気がする。

そうすると、少しずつモヤモヤが消えていって、丸くなりつつある。小さな丸がたくさんできたら、それがアイディアの端くれになるのだ。


余裕があるときは一つずつあれやこれやと、頭の中で整理していく。それでもアイディアが溢れてしまうようなら、すぐさまスマホのメモに箇条書きで書き留めていく。

書いている途中で「ボツかも」と思っても、とにかく手は止めない。このとき考えたことは、一秒後に消えて無くなってしまうかもしれないから、とにかく書き留めておく。ダメでもいつかどこかで、使えるかもしれないから。


あ。と立ち止まってしまったら、それ以上いいアイディアは浮かばないことがある。わたしが最大限できるのは、丸くなった小さなアイディアの端くれを、壊さないように、潰さないように、両手で包んでいくことだ。

もしかしたら芽が出てこないかもしれない。花は咲かないかもしれない。だけど、一つも取りこぼしたくない。


汗がじんわり額から流れ落ちていく。お湯に浸かっている体はどんどん熱くなる。楽しい、楽しい。頭の中だけに収まっていたものが、言葉によって具体化されていく。明瞭化されていく。はっきりとクリアになっていくのがわかる。

グルグル回る頭の中を、少しだけお湯に溶かしてあげれば、あっという間にアイディアの端くれが生まれる。それが形になろうとならなかろうと、この作業が楽しくて、わたしはクリエイターをやめられないのだ。