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雑文 #214 雨と読書

土日に連休ってほんと久しぶりです。
といっても、雨、雨、雨…
いいんですけどね、出掛けないから。
外が雨なのを歩くのはきらいだけど、出掛ける用事がなく雨音を聴きながら家にいるのは好きです。

サマセット・モームの「雨」っていう小説を知ってますか?
私はなんであれにあんなに衝撃を受けたんだろう。とにかく好きでした。とにかくオチがすごかったんです。モームはすごい語り手だと思いました。

流れるように本を読んでいました。あ、この「流れる」って言葉はいま坂口恭平さんの影響を受けてます。テレビでいやなニュースを見るたび「あぁ、この人流れてないなあ」とか思う始末です。くだらない番組も流れてない。悪いところにしか目がいってないのは私の悪い癖ですね。流れる人を見つけましょう。あ、うちの猫は流れてる。ほんとうに流れてるなあ。

流れるように本を読んでいました。たぶん。趣味は読書ですとか言えなかったです。ずっと、好きだと気付いてなかったです。それは習慣でした。押し付けられていたわけではありません。もちろん「いい本を読んだほうがいいよ」と母や先生に言われてたと思いますが、むしろ、勉強をすべき時間に隠れて読んでた派です。そんな派閥があるのか知らんけど。

引っ越しで「すごい量の本だ」と元夫に言われたときにようやく気付いたんです。本が好きだって。みんなそこまで読まないんだって。もう30歳過ぎた頃のことでした。

好きな作家はいました。同じ本を何度も繰り返し読むから、それは大好きなんだ。村上春樹がいちばんです。マニアです。2~3回とかじゃなく、7~8回とか読むんだから。忘れるんです。忘れやすい脳です。でもこのときばかりはありがたいです。毎回楽しいんですから。

そんな村上春樹がエッセイを出しました。そして短編集も出しました。以前なら、すぐに買ってむさぼり読んでました。今回も反射的に買いました。でも読んでないんです。開いてさえいないんです。その辺にほっぽってます。

今年の初め頃から本が読めなくなりました。ネット記事とかnoteの投稿とか、そういう、分厚いページのものじゃなかったら読めます。でもいつもの常に読んでる小説があるような習慣がなくなりました。コロナの影響でしょうか。たしかにそれもあるかもしれません。集中できないんです。心配事がまず先なんです。

こういう経験が初めてなら、きっと私はすごく嘆いていたでしょう。でも2回目でした。1度目は、もう二度と読書をすることはないんじゃないか、なんて思って絶望しました。年単位で読めなかったと思います。病んでました。はっきりとそう言えます。それでも私は好きな詩集をかばんに忍ばせて、外で時間を持て余したり落ち着かなかったりするときに開いて眺めたりしていました。お守りのようなものです。

次の記憶は、旅行先で「ダ・ヴィンチ・コード」を一気読みしてる図です。そこに至るまでにきっと過程があったんでしょうけれど、忘れました。もうすっかり私は読めるようになっていました。

ミステリーがいいんです。回復期や、心が不安定な時期にはミステリーが。そうは言わなくとも私はミステリーが大好きです。推理や謎解き、殺人事件やサイコサスペンス。ホラーはちょっと苦手ですが、SFは好き。アクションは要らない。タイムトラベルや時間・記憶のパラドックスが大好物。閉じ込められるのも好き。そこから出ていこうとする知恵や努力や、冒険や。

もちろんそういったストーリーの映画も好きですから、読書できない時間(で、かつて読書に充ててた時間)は映像鑑賞に費やしてました。ここ半年ぐらい、観ていたお気に入りは「名探偵ポアロ」「刑事コロンボ」「古畑任三郎」といったシリーズ。スティーブン・キングもいい。CSで録り溜めてるんです。観たことあってもお構いなしです。忘れてますから。
そういうのを観ていると、すごく心が安らぐんです。人が殺されたりしてるのにね。何でしょうね。

先月誕生日に、仕事の帰り、駅構内の小さな書店でぱっと目についたミステリーを買いました。それを2日間で一気に読みました。今週のことです。

やっぱりミステリーでした。タイムパラドックスものです。おもしろかった。後味悪かったけど。しかも謎が残りました。でも「一日で全部読んじゃうのはもったいない」と気持ちを抑えるほどでした。

ミステリーやSF的な要素に加え、じんわり感動できる小説があったら最高です。逆に、文学的なのにミステリーやSF的な要素を含んでいるものも最高です。

四の五の言ってないですぐそこにある村上春樹を読めばいいわけですが、なんだか手に取れなくて。まだ薄汚れてるから?私の心が。いえいえ本に対する忠誠心とかそんな固いこと言ってるんじゃないですよ。まだテンションがそこまでいかないのです。
そのうち読みたくなるでしょう。いまはまだ軽いやつがいいな。

悩みだったのです。紙の本を手に取って、心からワクワクしたり安心したりしながらページをめくる時間がないことが。音楽のライブに行くことはできないけど、読書なんてコロナ禍いちばんできるじゃん?なのに何で私だけできなくなってんの。絶望とまでは言わなくとも、悲しかったのです。
不調のひとつの原因だったのでしょう。
どうやら回復できそうです。

明日は、天気が悪くなかったら出掛けるけど、もし雨ざーざーだったらゆっくり読書して過ごします。


#日記 #雑文 #散文 #読書 #雨


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