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雑文 #118
買うつもりのないものを買ってしまった。
ここ数年アナログレコードがブームみたいな感じになっているのを知ってはいたが、自分は関わるまいと思っていた。
そんな矢先くるりが昨年末から少しずつアナログ盤をリリースし始めた。もちろん気にはなった。
だけどもそんな余裕はないと思った。
だけども……‼
2月22日に、午後時間が空き、『アンテナ』だけ買おうと思って池袋まで行ったのが始まりだった。
事前にネットで調べていて、既出のアルバムは売り切れていて既に高価売買が行われているという知識はあったが、まさか発売日に店頭に一枚もないとは!HMVもディスクユニオンもタワレコも。
とくにディスクユニオンの対応は真摯だった。入店したとたん『アンテナ』がかかっていたので私はなぜか大いにうろたえて、商品整理していた店員さんに「この、いまかかっているアルバムのレコードが今日発売なんですけど…」とキモいアプローチ。オタク慣れしているのだろう。店員さんは感じよく丁寧に調べてくれた。結果「どこの店舗にもない」ということを伝えるときにひどく申し訳なさそうだった。
私は結局店内で『アンテナ』丸ごと聴きながらスマホで全国の在庫事情を調べ、撃沈した。
入手困難だと人はもっと欲しくなるもの。私はネットでまだ定価で手に入る『NIKKI』『図鑑』を購入。さらに、予約しておかないと買えないとわかったので『ワルツを踊れ』『THE PIER』を予約した。『アンテナ』一枚のつもりが四枚のレコードに…やれやれ。
帰ってTwitterで上記の落胆をつぶやいていたら、あまり交流のないフォロワーさんが「秋田に『アンテナ』ありますよ!」と教えてくれた。
私のスマホの見方が下手くそで、取り置きできる店舗の頁に行けなかったのだ。よく見てみたら、全国的に品薄の中、よりによって地元・秋田のHMVに残っていたのだ!うおぉお!運命感じる。すぐに取り置きをタップ。
その上で、翌日秋田のHMVに電話し「しばらく取りに行けない事情」を説明した。秋田にHMVがあったことすら忘れてたけど(できたばかりなのだ)、感じよく事情を承諾してくれた。「大丈夫ですよ、安心してください」私の熱意に店員さんも少し心配し気味だった気がする。
数日後、私は前回の 雑文 #117 にも書いたくるりのライブに行った。
早めに会場に着き友人とグッズ販売の列に並ぶ。
友人が「あ、あれは…レコード?」
…目を見張った。
『アンテナ』のレコードがある!あんなに探したのに!何枚もある!HMVが出店していた。
「Tシャツと~、あと何買おうかな~」とか言ってる周りを余所に私の目はレコードに釘付けだ。
よく見たら数枚だけ横に立てかけてある…あの…あれは『さよならストレンジャー』ですか?もしかしたらそれは『THE WORLD IS MINE』ですか?
お金余分に持って来てよかった!
私はさっさとグッズを買いHMVブースで上の二枚をゲット。ものすごく興奮した瞬間だった。
レコードを抱きしめてほくほくと階段を上がっていると、グッズの列に知人がいて声を掛けられた。「レコード!レコード二枚買えたの‼」事情もわからないだろう彼女に向かって私は歓喜の声を上げる。完全に変だと思われたはず。
売れ行きがよかったようで、翌日にはもっとレコードが増えていた。『TEAM ROCK』も買うことができた。ブースのお兄さんに「これ、探しまくったけどなくて秋田で取り置きしてるんですよ」と文句も言いながら(しかも両日とも同じ人と同じ会話を…苦笑)
レコードをめぐる冒険。
なんだかんだ言って出てるの全部買っちゃったじゃないか。
こういう収集癖をくすぐる魔力がレコードというものにはあると知った。
後半に続く(予定)