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雑文 #246 くるりの『天才の愛』


くるりのニューアルバム『天才の愛』を聴いた。

発売から10日経っているわけだが、なんだかまだものにしてない。自分の中でまとまっていない。まあ、まとめなくてもいいのかもしれないのだけれど。

一曲一曲が粒だっているなあ、と思う。それにしても『天才の愛』て。タイトル聞いたときは少したまげた。ガツンときてる。何だろう…私が自分の愛を見失いかけていたから?かもしれない(これマジで)。

ぼんやりと感想。あるいは私のことだから結構はっきりとしているかもしれない。


1.「I Love You」 先行配信された曲。ヘッドホンで聴くと頭がしゅわしゅわする。本当に、首から耳にかけてくすぐられているような感覚になるのだ。いろんな音のフルーツポンチ。ところでストレートすぎるタイトルは曲を作る前と作った後どっちに出てきたもの?甘いタイトルにしては内容は仕事的(仕事の愚痴的?)で、甘くない。

2. 「潮風のアリア」 この曲がアルバムの半分だと思う。ごめんなさい、あくまでも私見です。それぐらい重みをもった曲だと思う。最初に聴いたのは、ラジオでの岸田さんの弾き語り。去年の3月頃だったか。「3万7千円」という仮タイトルが付いていた。それを繰り返し聴いて(ラジコとかで何度も聴けるのだ)、泣いた。2020年オンライン京都音博でもバンドで披露してた。泣いた。すごいと思って、歌詞を書き留めた。そんなことしたの高校生以来かも。歌詞は、リピートがない。でも覚えやすい。メロディーは、リピートだ。思わず一緒に口ずさんでしまう。「There is (always light)」や「soma」や「glory days」や「その線は水平線」などの良いところが混ざった曲だと思う。景色が見える。MVも素晴らしい。

3. 「野球」 これはもうね…。私もプロ野球が好きなので。最初にアルバムを通しで聴いたときに、この曲で泣いてしまった。ライブで演ってたときは笑うばかりだったのに。球場にいるときの多幸感が蘇るのだ。何しろ、私はくるりを好きなエネルギーぐらいで野茂英雄投手が大好きだったので、「野茂さ~ん…」と歌詞に入っていてうれしすぎた(その後の余韻も)。

4. 「益荒男さん」 変な曲。だけど、私はこの曲がいちばん好きな気がするんだ。落ち着く。なんでだろう。いまの自分の体温にいちばん合っている気がする。風刺なのに。私がおっぺけぺーだからか。ドラムス:クリフ・アーモンド。この曲も先行シングルでMVがすごく良い。

5. 「ナイロン」 アルバムの流れ的にここでひとまず落ち着くというか、新しい気分になる。先行して聴いたことない曲が始まるからかもしれない。ラテンな雰囲気。ラテン!メロウなラテン。岸田さんがラテンを作ってくれるのを私は待っていた。高校生のとき書き留めていたのは、ラテンの曲たちだったのだから。これもドラムス:クリフ・アーモンドですね。いつの間に録っておられたのですか…?

6.  「大阪万博」 問題作。私の中の、隅っこにプログレがいるのです。じつは私は英国プログレッシブ・ロックが大好きなのです(主にキング・クリムゾンとピンク・フロイド)。ラテンと同じく、隠れ趣味を当てられたような気分(笑)。ノリにくくて気持ち悪いと思われがちかもしれませんが、私には気持ちいいです。

7. 「watituti」 パッと聴きでいちばん「ライブで聴きたい曲だ!」と思った。ノリが好き。踊れそう。これもドラムス:クリフ・アーモンド。岸田さんが「ワティトゥティ」と言っているだけの歌詞。何ともかっこいい。「トゥッティフルッティ」みたい。

8.  「less than love」  インスト曲。愛未満。妖しさが漂う曲。荒野で途方に暮れて風に吹かれてスカートたなびかせてる女性の後ろ姿、みたいな画が浮かぶ。中東の風味。ファンファンのトランペットが歌ってる。

9. 「渚」 静かないい曲。三拍子は「真昼の人魚」みたいな雰囲気。少しかなしい。「心の凪を水鏡に映す」という歌詞にハッとする。岸田さんは、なぜいつも私がやっていることを歌にするのだろう。

10. 「コトコトことでん (feat. 畳野彩加)」 岸田さんの電車愛。私は四国に行ったことがなく、ずっと行きたいと思っている。そして、ばあちゃんになったら八十八ヵ所めぐりをしたいと思っている。コトコトコトコト。「旅の途中」みたいな、青春期のデート中みたいな、かわいい曲である。ハモりの効果もあるだろう。

11. 「ぷしゅ」 じわじわきてる。この楽しい曲でアルバムが終わるのは良いと思う。英語歌詞部分が気持ちいい。佐藤さんが作った歌詞を岸田さんが歌うと一段と色っぽく聴こえるのはなぜだ?(私だけ?)…とにかく私もビールに枝豆くださ~い。ぷしゅ。


ところでこのアルバムの素敵なところは、音楽もさながら、ジャケ等のアートワークです。私は坂口恭平さんのパステル画が気になって気になって、去年の9月個展を観に行きました。それが大好きなくるりのアルバムのジャケになるなんてなー!坂口さんの絵は買えなかったけど、このコラボはすごい。私の好きな夕暮れの空の絵が沁みる。アナログ盤も絶対買う。


#日記 #雑文 #散文 #音楽 #くるり #天才の愛 #坂口恭平

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