雑文 #173 捨てる
いつまで雨が降るんだろう。
日本には雨季ができたのか。
サマセット・モームの「雨」を思い出すな…
一日休息に努めたけど、疲れは取れてない。
倦怠感くんはじっとり私とともにいるので、明日はマッサージを受けに行こうと思う。
思えば連休なんて何ヶ月ぶりだろう。
一日の休みもいつだったのか思い出せない。休んだんだろうけど、こうしてなるべく横たわって過ごす日はいつだったのか。忘れたから案外最近あったのかもしれないけどわからない。
頭が痛くなってきた。
部屋が狭いので、明らかに物が多い。
すぐにごちゃごちゃ散らかっちゃう。いやになる。
私は30代半ば頃から整理が苦手になった。
捨てればいいと思う。捨てるべきだ。何しろ物持ちがいいんだから。
私は捨てることが苦手すぎる。
少し前、あまりに収納スペースがないので一日ひとつずつ何か捨てようと思い立ったことがあった。
でも果たせてない。せめてひとつ買ったら、ひとつ捨てなきゃ溢れるのに。
私は物が好きなんだと思う。旅先で買ったもの。もらったもの。気に入ってるもの。かつて気に入っていたもの。
何度も引っ越したから、その都度捨てたはずなのに、いっこうに減らない。
たとえば服を捨てるときに、少し傷つくのだ。だいたいその服の何かを覚えてる。あのとき着ていた服。旅行の写真に写ってるシャツ。あの人と会ったとき着ていたワンピース。買ってもらったスカート。いいねって言ってもらったカーディガン…
捨てるとき、思い出も一緒に捨てる。
だけどそんなに固執しておいて、捨てたとたんに忘れるのだ。苦しいのは「捨てよう」と思ってから捨てた瞬間まで。喉元過ぎるとすぐ忘れる。思い入れていたのがバカみたいにさっぱりと。
そしてすっきりする。部屋も気分もすっきりするから一挙両得だ。
だから捨てたほうがいい。わかってるけど、捨てられない。
今日は秋田でヨガ教室に通っていたときに履いていた、ギンガムチェックのパンツを捨てた。私はそれを買ったときのことを覚えてる。ヨガ教室が特に楽しかったわけでもないけど、ヨガをしていたときに感じたちょっとした幸せのことを覚えてる。
いずれ忘れることを知っているからさみしいのかな。
雨音がさみしいけど気持ちいい。