雑文 #203 TRAVELING LIFE
昨日夕方に私を撫でた風は嘘ではなかった。
さよならの風だったのか。
今日(9月1日)は打って変わって涼しく、まるで月替わりに合わせて季節を変えたみたいだった。
私はよく覚えてる。今年の7月は長雨で、晴れた日などほとんどなく、8月1日からパキッと晴れて暑くなり、ほぼ毎日真夏だったことを。
もう秋になったんだろうか。
蝉も鳴いてるけど、急な変化に慌ててるように聞こえる。
過ごしやすい秋は大好きで、夏の終わりの切なさも移り変わりも、秋の空の高さも実りも寂寥感もすべて好き。
9月は誕生月だからだろうか。
数ある花の中でコスモスがいちばん好きだし、秋独特の空気の揺れ方も好きだ。
秋は秋田がいちばん美しいと感じる。
残念ながら、秋の良さは、東京では秋田の10分の1も感じられない。
秋は夕暮れ。清少納言が言ったよね。
私は秋じゃなくとも夕暮れがこれまた好きだ。
マジックアワーが、一日の中でいちばんホッとするし、さみしいけど美しい時間。
小山田壮平の新譜『THE TRAVELING LIFE』を買ってきた。
作品についての記事などを読むと、旅するように生きる、みたいなことについて言及されている。
私もこんな歳でまだ根無し草みたいに、あっちにふらふらこっちにふらふら。
旅が好きで、そして壮平くんも夕暮れが大好きみたい。
記事を読んでいて、音楽の専門的なこと以外はなんだかよくわかるような気になった。
旅に出ると、向こうで友だちになった人としばらく一緒に行動したり、楽しいけど妙に自分のHOMEの良さを実感して帰りたくもなったり。
家の窓を朝開けるとパーっと眼下に広がる向かいのサルスベリの色が、強くなってきた。
秋色濃くなり、そして散っていくのだろう。
堅実に、根を張って生きている。
安住の地をどこかで希求している。そのくせ旅をしていたい。私は本当に裏腹である。