104.イチジクの夜 [蟹座14度]
マッカーサー博士は、イチジクの夜に焼酎を飲むのが好きだ。
1日の仕事を終えると、彼はそそくさと自室に引きこもり、部屋のシャッターを閉め、誰も見ていないことを確認したあと、懐から慎重に焼酎を取り出す。
焼酎をグラスに注ぐとき、マッカーサー博士の心は踊っている。
すべてはこの瞬間のためにある、と感じる。
マッカーサー博士は、国政を左右する重要な研究に取り組んでいるが、実のところそんな研究はどうだって良い。いかにも研究に命を捧げているかのような様子を醸し出しているが、それはあくまで処世術としての仮の姿である。
彼の命は、イチジクの夜、焼酎を飲むためにあるのだ。