【掌編小説】猫の笑点
公園のベンチに座る昇太おじいさんに、野良猫が話し掛けた。
「昇太おじいさん、何か心配ごとでも?」
「歳を取ると、毎日、『オシッコトラブル』、の心配がの~。お前さんたちはどうじゃ?」
「僕らは、毎日、マーキングしたところを旅して回る、『オシッコトラベル』、です♪」
「ほほぉ~♪」
そう言うと、昇太おじいさんは、スマホでどこかへ電話を掛けた。
「あ、山田さん、座布団一枚お願いします!」
すると、間もなく、ご近所の山田さんのおじいさんが、笑顔で座布団を持って来てくれ、野良猫に声を掛けた。
「さ、ここへお座んなさい♪」
と、ベンチに座る昇太おじいさんの横に、座布団を敷いてくれた。
人の『焦点』。
猫の『焦点』。