【掌編小説】商品代金+送料

｢お支払い方法は、いかがいたしましょう？｣

｢代引きでお願いします｣

｢かしこまりました。商品代金には送料が含まれておりませんので、送料は別途べっと頂戴ちょうだいいたしております｣

｢はい、分かりました～｣

｢では、商品をお送りさせて頂きますので、よろしくお願いいたします｣

｢よろしくお願いしま～す♪｣

　これから始まる新婚生活。今、生活必需品を買かい揃そろえている。

　だいたい必要なものは揃えたかな～……、とは言え、テレビの通販CMを観ては、買い忘れに気づくこともしばしば。

　今回も、｢あっ！　買い忘れてたっ！｣、ってものに気づき、何気に嫁さんを喜ばせたく、ちょっとしたものを注文した。

　商品到着日=新婚初夜♪

　ショヤーーーッッッ！！！

　どやーーーッッッ！！！

　嫁さんには内緒にしていたので、二人で部屋を整えているタイミングで、サプライズ的に届くことになっていた。

　ー　ピンポ～ン！　ー

｢おっ、来た来たっ！｣

｢何か頼んでたの～？｣

｢そっ♪｣

　僕が玄関に商品を取りに行くと、

｢こんにちは～♪　お届け物で～す！　商品こちらになりまして、代引きですね～｣

　と、配達員さんから商品を受け取り、代金を支払った。

｢あれっ？　今、商品のお代金しかお支払いしてませんけど……｣

｢はい｣

｢確か、『送料は別途頂戴いたしております』、っておっしゃってましたけど？｣

｢あ、コールセンターのスタッフの発音が悪かったんでしょうかね～？｣

｢えっ？｣

｢『送料は別途頂戴いたしております』、……ではございませんで、『送料はベッド頂戴いたしております』、……なんです♪｣

｢えっ？！｣

｢……ってことで、御同意ごどういを頂いておりますので、失礼しま～す！｣

　……と、配達員さんと共に、アルバイトの学生さん3人がゾロゾロと……、

｢頂戴して行きま～す♪｣

　……って、｢このベッドの上で、あんたら何をしてたんや？　んっ？　言うてみ！｣、と言わんばかりに、僕たちをスケベそ～～～な目で見ながら、新品のWベッドを担かついで行ってしまった！

　新婚さんとして、さぁ～、これからッ！　毎晩、毎晩、くんずほずれつ、夜の組み体操を、お盛んに繰り広げるZZZゼーーーッッッ！！！

　……って、パンパンにッ！　満帆まんぱんにッ！　気合い入はいりまくりで買ったWベッドを、たったの1回も、くんずほぐれつ戯たわむれぬまま、送料として、持って行かれてしまった！

　二人で、ポカ～ン……？

　想定外のサプライズ……。

　で、何を買ったのかって？

　と、とても言えません……。

　ムフッ♪