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Saltburn(ソルトバーン) -スクールカーストから生み出された愛憎と狂気と映像美-

こんにちは。Momokoです。最近映画を観ることが増えたので、記録としてつけていくことにしました。映画以外にもドラマや音楽、本などについても書いてくかも…?


はじめに


昨日から謎に体調が悪く(最近1週間に1回ぐらい熱が出ており、何らかの病気ではないかと疑い始めている)外出できなかったので、スマホで延々とXを見ていると「『Saltburn』がAmazon Primeで見放題になっている!」と発見し、アマプラ会員でなかったものの急いで登録。(なぜかまだ学生プランで登録できました。嘘じゃないしね?)

元々Saltburnという映画自体は認知しており、主演であるジェイコブ・エロルディのInstagramで発見しました。彼がTrailerとプレミアの画像を上げていたので見てみると、めちゃくちゃかっこいい映像で私が好きなスリラータイプの映画。しかもジェイコブが出てるなんて観るしかないと思わされました。

ジェイコブ・エロルディはアメリカで大ヒットしたドラマ『Euphoria』のネイト役として出演しており(Euphoriaは大好きなのでまた別にnoteでも書きます)その頃から推してます。Euphoriaでもそうだったけど、今作でも学年で一番のイケメン、ナチュラルな人気者という役柄がめちゃくちゃ似合う色気のある役者さんなので、ぜひ彼のInstagramでもご覧ください。

前置きが長くなったのですが、今回の『Saltburn』、脚本・監督が『プロミシング・ヤング・ウーマン』のEmerald Fennell。アカデミー賞脚本賞も受賞していることもあり、今注目の監督です。制作会社はマーゴット・ロビーのLuckyChapが入っています。

オックスフォード大学に通う学生オリバーは学内で自分の居場所を見つられずに苦労していた。そんな彼の前に、貴族のような暮らしを送る裕福な学生フェリックスが現れる。オリバーはフェリックスの一家が所有する広大な土地、ソルトバーンに招待され、そこで忘れられない夏を過ごすことになる。

映画.com
Saltburn

Trailerはこちら。

全体として、映像がとても美しく、おしゃれ。フォントもゴシックで特徴的なものを使用しています。Trailerだとストーリーの大枠を掴みづらいと思いますが、ネタバレになってしまうので今回は割愛します。

主人公はアイルランド出身の俳優、バリー・コーガンが演じるオリヴァー。そしてジェイコブ・エロルディ演じる、貴族出身で学校一の人気者、フェリックス。
他にも、フェリックスの親友で黒人のファーリーや、フェリックスの変わった家族たちが、物語を演出していくことになります。

この映画の魅力はいくつかあるのですが、ここでは特に心に残った3点をご紹介。

Barry Keoghan(バリー・コーガン)のイケてない学生の演技が最高!

主演のバリー・コーガンですが、最近だと『聖なる鹿殺し』、『ダンケルク』などに出ているんですね。私はしっかり出演作を観たのは初めてでしたが、冒頭から醸し出す佇まいだけで引き込まれる素晴らしい俳優さんでした。

今作は2006年のイギリスが舞台。冒頭のシーンでは、その頃の活気づいたオックスフォード大学の雰囲気を感じられる映像にテンションがあがると同時に、新入生として1人でやってきたバリー・コーガンの心情にめちゃくちゃ共感して胸が痛くなる。

冒頭シーンのオリヴァー。マフラーをバカにされる。

誰も友達のいない新しい学校に来るときの孤独感、みんなに置いて行かれてないかという焦燥感、イケてる友達への憧れなど、皆さん多少なりとも様々な気持ちが渦巻くと思うのですが、まさにそれをオリヴァーを通して疑似体験しているかのような冒頭30分が続きます。特にスクールカーストを意識して生き抜いてきた人には結構な重み。これをナチュラルに感じさせてくれるバリーの演技の表現力にビビります。

バリー演じるオリヴァーは誰も友達ができず、同じく友達ができない変人のマイケルと一緒にいることになりますが、マイケルには全然興味なし。その視線は常にフェリックスに向いている状態です。対するフェリックスは、常に友達に囲まれており輪の中心にいて、イケメンで、それでいて誰にでも優しく明るい。もう陽キャの中の陽キャという感じで、「ああ、私もどっちかというとオリヴァー側だったな…」と昔の自分の感情すらも思い起こさせてくれる冒頭の展開でした。

まさに対局にいるオリヴァーとフェリックスですが、ひょんなことから仲良くなり、親友とも呼べる存在になっていきます。

ジェイコブが演じるフェリックス。めちゃくちゃ陽キャで金持ち、シンプルにかっこいい。

オリヴァーはフェリックスに自分のつらい生い立ちや境遇を話すことで距離を縮めていきます。そこでフェリックスは落ち込んでいたオリヴァーを自分の実家であるSaltburnの豪邸に招きました。
ここから、少しずつ不穏な展開になっていきます。

Jacob Elordi(ジェイコブ・エロルディ)の色気がすごい!


また、もう1人の主演であるジェイコブが演じるフェリックス。私は元々Euphoriaの頃からのファンなのですが、彼の魅力も存分に出ている映画でした。

なんといってもビジュが最高。スタイルもめちゃくちゃいいし、学校一の人気者という存在感がバチバチに出てます。画面に出るたびに色気が溢れ出て
いる。

なぜかこの映画、半裸のシーンがめちゃくちゃ多いです。バカンスだからかな?


私が特に好きなのはフェリックスがオリヴァーを自分の実家であるSaltburnに連れてきたときに、家の中を紹介する箇所。

この家もヴェルサイユ宮殿ぐらい広く、青の間みたいな意味のわからない部屋やヘンリー8世が使ったベッド、シェイクスピアの初版があるバカでかい本棚、迷路みたいな庭など、普通の家ではありえない光景だらけなのですが、それを駆け抜けるようにユーモアを交えて軽い感じで紹介してくれる彼の雰囲気が、まさに貴族のお坊っちゃま(いい意味で)という感じですごい惹かれます。強くて自信があるやつにしか出せない雰囲気。

これが実家。どういうこと?

実家も太くイケメンで性格もいいやつが人気者になるのは必然ですが、その中で感じていく疲れや闇も時折垣間見えるフェリックス。まさにジェイコブが演じるのがぴったりだなと思わせてくれる役どころで、キャスティングに感謝しかないです。

世間ずれしている家族、豪邸Saltburnに狂わせられる怖さ!

フェリックスの実家である豪邸に招かれるオリヴァーですが、そこにいたのは風変わりな家族と、フェリックスの母の友人パメラ、同じくフェリックスに招かれた友人ファーリー。

到着早々に、彼らが自分の家庭事情などについて噂話をしているのをオリヴァーは耳にしてしまいます。助けを求めて居候しているパメラに対しても表面上はいい顔をしていますが、裏では一刻も早く追い出したいと考えている非常な一面も持ち合わせている家族の異常性を描いています。

Saltburnの家族。赤髪のパメラは更生施設から出所、居候している。

この家族の中でも特に象徴的なのが、Rosamund Pike(ロザムンド・パイク)演じる母エルスペス。『ゴーン・ガール』などの出演が有名ですね。いい人そうでありながら、むやみに人のプライベートに悪気なく入り込んでいく、金持ちならではの嫌な人感を抜群に表現しています。(常識外れしている発言で笑える要素が多いのも魅力)他にも美しく奔放な姉のベネチア、発言が軽薄で善人な父など、金持ちで常識外れした人たちの世界に足を踏み込んでしまった感を味わわせてくれます。

そんな豪邸での非日常的な暮らしやフェリックスを取り巻く家族の人間関係を通して、オリヴァーにも徐々に変化が見られるようになります。

フェリックスへの深い愛情と羨望、立派な邸宅での生活への執着、過去から解放されて新しい自分になりたい、という強い思いが心の中で渦巻き、オリヴァーの行動は狂気に満ちたものへと変貌していきます。物語はここから始まると言っても過言ではないです。(ここでオリヴァーが見せてくれる数々の行動は結構オブラートに包んでいない表現なので苦手な人は苦手かも)
オリヴァーの行動の背景には、自分が抑圧されてきた性や権力で人を支配したい、自分もフェリックスのようになりたいという思いがあるのかなと思いました。

個人的には、ここまで人が狂っていく演技ができるバリーに驚愕すると同時に、外から来た部外者をここまで執着させてしまうこのSaltburnという豪邸の恐ろしさを感じる展開でした。

バスタブを見つめるオリヴァー。こんなバスタブがある家あんまないよね。

きれいな豪邸、青春を感じさせる美しい映像の裏で展開される、底しれないオリヴァーの狂気に触れられる、めちゃくちゃ面白い映画でした。ハッピーエンドではないので、そこだけお気をつけを!

美しい映像と個人の狂気が共存するスリラー!1人で見たほうがいいかも

実は個人的にこの監督の映画を観るのは初めてだったのですが、全体的にめちゃくちゃきれいな映像で引き込まれました。オックスフォードや豪邸周辺のイギリスらしさも、欧州への留学時代を思い出す雰囲気で好きだったなあ。序盤、まだハートフルなストーリーが続いているときに出てきた、フェリックスとオリヴァーが川に石を投げるシーンはとてもきれいで感動しました。

俳優さんたちの演技も素晴らしいし、展開も早いので飽きずに観られると思います。ただ、オリヴァーが狂ってくるところでは嫌な部分もどんどん見せてくる系なので、エログロ耐性が全然ない人はやめたほうがいいかもです。(そんな過激ではないと思いますが)あと、基本1人で観ることをおすすめします!w

Amazonプライムで無料で見れるので、興味ある方はぜひ以下からどうぞ!

次回はEuphoriaについて書けたらいいなあ、と思うもののめちゃくちゃ長くなりそう… それではまた!

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