老いるっていいな
献血にいったことがありますか?実は私、本日お誕生日。1人でお出かけする時間を得て、献血してきました。
幼い頃、地元のデパートの上階で献血に行く両親を何度か見たことがあります。確か中には入れてもらえなかったので、外側から見える清潔そうな明るい部屋と、あのマークを覚えています。
あの時一緒にゲームコーナーで時間を潰していた妹は、結構献血するタイプ。私は今日で人生2回目の献血。
昔、妹が「さっき献血に行ってきたんだ〜」と言った時、反射的に「えっなんで?」と思ったことを覚えています。貴重なお休みのぶらぶら時間に献血行くの?すごいね?そんな高潔なタイプだった?そんな気持ち。
理由を聞くと「んー、飲み物も飲めるしお米もくれたよ」みたいな答えが返ってきました。えーそんな理由なん???つまり歪んだ見方をすれば血売ってるってこと?(歪みすぎ)とにかく「なぜ行くんだ???」と思ったことを覚えています。
その時から10年弱老いた私。お誕生日だし何しちゃおうかなー!献血でもするか!と思いました。この気持ちの変化はなんだ?
土曜日のお昼、献血ルームにはたくさんの人がいました。中高年の男性が多かったのはなんだか意外でした。一人一人に献血している理由を聞きたいような、聞きたくないような。聞いた途端に悲しくなってしまうような理由もありそうだ。勝手な想像が膨らんでしまう。
看護師さんが「今日はお誕生日なんですね、おめでとうございます」と声をかけてくれました。「そうなんです」とにこにこした私は、老いるっていいなと思いました。視野を広げて、柔らかくなって、ちょっとだけ人の役に立ちたいという気持ちが湧いてくるような、そんな老いかたがあれば楽しいな。
献血にいくことに特に理由がなくてもよくなる。老いる、大人になる、歳を重ねる。自分のどうしようもないところが少しずつ溶けて変わっていく。
なんとなく、両親と妹にお礼を伝えよう。そんなことを考えながら、好きな喫茶店でシチューを食べて、これから映画を観ます。しかも気になっていた「PERFECT DAYS」。本当に人生というものは最高です。