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『全修。』第7話感想:ナツ子に「トゥンク」はいつ来るのか

第5話、6話と2話構成で中ボスとの戦いが描かれた『全修。』、物語は後半戦に突入だ。(『全修。』は全12話構成と見込まれる)
今回は『全修。』のこれまでの展開を振り返り、第7話の内容を踏まえた今後の展望を取り上げる。
(本作第7話までのネタバレを含みます。また、恒例のスタッフインタビューはいよいよ中身が薄すぎたので今回は省略)


ここまでの振り返り

物語が後半戦に入ったことを契機に、『全修。』を今後もよりよく楽しむためにここまでの展開の要点を振り返ってみる。

.主人公・広瀬ナツ子は新作映画の制作に苦戦する中、ハマグリ弁当を食べて倒れる。そして、目覚めたのは小学生の頃に夢中になった映画『滅びゆく物語』の世界だった。

『全修。』公式アカウントのツイートより

ナツ子は第1話、2話で「死んで?転生した」と言う一方で、「元の世界に返してください!」と祈るなど矛盾した行動をとっているが、私の見立てでは現実世界のナツ子はそもそも死んでない。そして、鍵を握るのが弁当に入っていたハマグリだと予想している。
(関心がある方は下記エントリーをご参照ください)

.『滅びゆく物語』の世界にあった9つのソウルフューチャーの内、既に8つが失われ、残るは最後の街の1つだけだ。この世界の住人たちに逃げ場はなく、世界を滅亡に導く超空洞ヴォイドの誕生を阻止する戦いは、最後の街での攻防にかかっている。

また、ナインソルジャーの内、登場していない4人(チンゴスマン、ガンガー、アドミラル、カピタン)は過去の戦いで既に死亡している。最後の仲間・ジャスティスと合流した今、ナインソルジャーにも最後の街にも援軍が来ることは期待できない。

.当初、ナツ子が入り込んだ『滅びゆく物語』の世界は映画どおりの展開を見せていた。そしてナツ子は映画の知識を活かして召喚能力を発揮し、仲間たちの危機を救ってきた。
その結果、映画本来のストーリーと乖離が進んでしまったこの世界の先行きは予測不能になってきている。

そこに登場してきたのがラスボスと目される謎の鳥だ(キャラ名は「鳥監督」だと明示されている)

『全修。』OP映像より

OP映像にも登場するこのキャラの正体は、ナツ子が夢中になった映画『滅びゆく物語』の制作者・鶴山亀太郎だと予想されている。

鶴山亀太郎
(『全修。』第1話より)

鳥監督は第5話でナツ子に対して「修正してもムダだよ」と発言しており、ナツ子の能力を認識した上で、それを上回る力を有しているかのようだ。
鳥監督は『全修。』の今後の展開を左右する最重要キャラであり、どこで決定的な影響力を発揮するのか動向が注目される。

.現時点では予測不能の不確定要素として、『全修。』第1話が2019年9月を舞台としていることがあげられる。また、暑い季節にも関わらずナツ子と共に映画制作に関わるスタッフの服装に違和感があり、これまた謎だ。

『全修。』第1話より

詳細は下記エントリーに書いたのでここでは省略するが、これがどんな伏線になっていて、今後のストーリー展開にどう影響してくるのか注目だ。(私個人としては、この伏線回収の説得力次第で本作の評価を大きく上下させるつもりだ)

第7話感想

さて、以上の状況を引き継いで今回の第7話『初恋。』だ。4つの時期に分けてナツ子の過去が描かれた。初恋を知らず、映画制作に行き詰まる現在のナツ子は、過去のそれぞれの時期で誰かの初恋(?)対象だったという皮肉が表現された。

ナツ子が何かに夢中に打ち込む姿勢、そこからあふれ出る才能が相手を引き付けるのだが、一方のナツ子は相手のことが眼中にない。
似顔絵は似てないし、名前は覚えてないし、原画は全く無視しているナツ子は自分が好きなことに一途なだけだ。相手の初恋は成就せずに消えていく。

こうした状況を理解した上で、いまナツ子がいる『滅びゆく物語』の世界に目を向けると、ルークがナツ子を気にしている。
伝説の勇者である自分をも上回る圧倒的な能力でヴォイドを撃退し、最後の街を守るナツ子のことがルークは気になって仕方ない。そして、ナツ子の方はルークの気持ちに気づいてないが、ルークはかつて夢中になった意中の相手だ。
ルークの気持ちを知ったナツ子はどうなるのか?「トゥンク」が来るのか?答えは次回明かされるだろう。

その一方で、ついに鳥監督がナツ子の眼前に現れ、物語の暗転を告げた。いよいよクライマックスに向けて展開が加速していきそうだ。

今後の展望

『全修。』の物語に残された時間が徐々に少なくなってきている。個人的な展開予想のポイントは以前からあげているように、ナツ子が一度現実世界に帰還するのか、それともこのまま物語世界に居続けるのかにある。

その展開に影響を与えるキーワードが作品タイトルにもなっている「全修」で、おそらく第9話のラスト付近で最後の街が絶体絶命の窮地に陥る中、鳥監督が高らかに

全修、全部やりなおし。全修!

と言い放ち、ナツ子はナインソルジャーの仲間たちと引き離され、現実世界へ戻されるのではないか。私が以前から予想し、かつ望む展開がこれだ。

現実世界に戻り、『滅びゆく物語』の世界に干渉できなくなったナツ子は仲間の危機をどのように救うのだろうか。今後の展開をいろいろと想像すると、今夜もまた眠れそうにない。

※前回の内容はこちら


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