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『全修。』はスーパーヒーローの物語なのかもしれない

個人的に『全修。』第1話が刺さりすぎて、寝ても覚めてもナツ子のことばかり考えている。(といっても、第1話を見てからまだ2日しかたってない)そして思ったのは『全修。』のジャンルは『SAVE THE CATの法則』でいう「スーパーヒーロー」なのではないかということだ。
以下、それに関する今後の『全修。』の展開予想について。

(以下、『全修。』第1話のネタバレを含みます。また、ここに記載する展開予想が当たっている場合は結果的にネタバレになるのでご注意ください)

※前回の内容はこちら


『全修。』の展開予想

異色の異世界転生モノ『全修。』は、

大きな目的を達成するためには、仲間との協力が大切だ

というテーマで展開していくと予想している。
主人公・ナツ子は物語世界に干渉する強力な能力を有しているが、その能力を使ったナツ子のアクションと、物語世界が返してくるリアクションのギャップが本作のドラマの中心になっていくと思われる。

主人公・ナツ子 (『全修。』第1話より)

これに関する基本的な考え方を参考図書から再度引用すると、

ストーリーで最も重要な瞬間は、登場人物が周囲からプラスの反応が返ってくることを予想して行動を起こしたのに、結果として敵対する力を呼び起こしてしまうときだ。登場人物の世界では、予想とは異なる反応や予想以上に強い反応、あるいはその両方が起こる。

『ストーリー』ロバート・マッキー著より

アクションとリアクションのギャップの原因は例えば『STEINS;GATE』で描かれた「バタフライ効果」のようなものでもよいが、明確な敵対する力がある方が分かりやすい。

そして、どうやら『全修。』には明確な敵がいそうなのだ。これは第1話に関する様々な感想をツイッターで散策していて見つけたのだが、世の中には細かなところに気づく人がいるものだとつくづく感心した。

その敵とはナツ子が入り込んだ『滅びゆく物語』の創造主・鶴山亀太郎(60)だ。第1話で訃報が伝えられていたが、その鶴山監督も『滅びゆく物語』の世界に転生していて、それが『全修。』公式トレイラーの1:15に登場するキャラだというのだ。

確かに! 長い3本のまつげが特徴的だ!

鶴山亀太郎
(『全修。』第1話より)

私も「何をやってもムダだよ」という予告のセリフが気になっていたが、そういう設定だったのか!

スーパーヒーローの物語

これで『全修。』に敵がいることがほぼ確実になった。そうなると、『全修。』のジャンルは「スーパーヒーロー」で間違いなさそうだ。
このnoteで取り上げた作品では『リコリス・リコイル』のジャンルがスーパーヒーローで、それは下記に書いたとおりだ。

あらためて、スーパーヒーローの物語の特徴を挙げると、

  • スーパーパワーを持つ主人公

    • 物語世界に干渉し、ストーリー展開を「全修」するナツ子の能力は、この世界では神にも等しいスーパーパワーだ

  • 宿敵の存在

    • 転生者にして『滅びゆく物語』の創作者・鶴山亀太郎
      (転生者としては別の名前を持っていると思われる)

  • ヒーローの弱点

    • 『リコリス・リコイル』は主人公・千束の人工心臓が弱点で、ここをアラン機関のエージェントに狙われた

    • 『全修。』はまだ第1話の情報しかなく、主人公・ナツ子の弱点は全くの想像になるが、第1話で描かれたようにナツ子は過去に視聴した作品からヒントを得て物語世界への干渉を行うが、天才ともてはやされても若さゆえに過去作品のインプット量はそれほど多くない

    • そのため、とっさに引き出せるネタには限りがあり、過去作品に関する知識量豊富な敵に後れをとってしまう。これが弱点だ

また、スーパーヒーローはその高い能力ゆえの苦悩を抱えているのが物語の定番だ。
『全修。』の主人公・ナツ子も天才と持ち上げられ、社長からは
「才能スパーク!」「海外の映画祭行きまくる!」「100億くらいバァ~と稼ぐ!」「大ヒット間違いなし!」
と煽られまくり、プレッシャー掛けられまくりだ。
そして、エゴサをすれば、世間からの新作映画への期待はとてつもなく大きい。
そのプレッシャーのために新作コンテは進んでいないが、一人で苦悩し続けるしかない状況に追いつめられている。

ナツ子が宿敵に打ち勝つには

スーパーヒーローの物語で主人公と宿敵の命運を分けるのは「信じる心」の有無だ。上述した通り、本作のテーマは

大きな目的を達成するためには、仲間との協力が大切だ

だと見ており、ナツ子は自分の能力だけでなく、ナインソルジャーの仲間たちの力を信じて敵に立ち向かう展開になると予想する。

一方の宿敵・鶴山は自分しか信じないし、自分が創造した『滅びゆく物語』の元来の姿に固執し続ける。

  • 仲間の悲劇を回避するために『滅びゆく物語』のストーリー展開を変えようとするナツ子

  • ストーリーの元の姿を変えまいと抵抗する鶴山

この二人の相克の末、『滅びゆく物語』のストーリーは元の形から書き換えられ、別の結末を持つ物語となって大団円へと向かうだろう。

そのとき、鶴山は自分が作った物語が改変されたことで完成度が向上したことを認め、自分を超える新たな才能が現れたことを理解して消えてゆく。
そしてナツ子も幼い頃に夢中になった『滅びゆく物語』が元の創作者とは別人の手が加わることでより素晴らしい物語になったことを悟る。

それはナツ子自身の創作方法の再考につながり、現実世界へ戻ったナツ子は職場の仲間たちの協力を得ながら新作映画をあらためて作り始めるのだ。

第2話以降を見るのが今から待ち遠しい。

※続きはこちら


参考情報

本ブログで使用している物語のジャンル名(「スーパーヒーロー」「バディとの友情」など)は下記エントリーで紹介しているので、興味があればご参照ください。


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