『第三飛行少女隊』絶望に立ち向かう少女たちの物語
負け組サラリマンの私は12月のボーナスが出なかったにも関わらず、勢いで『SHIROBAKO』のBlu-ray BOXを買ってしまった。そこに収録されている『第三飛行少女隊』(通称:サンジョ)を紹介したい。
ご存じの通り(?)、『SHIROBAKO』本編で主人公たちが制作した劇中作だが、この「サンジョ」、ちょー面白いっす!!!
あらすじ
ねえ、教えて?
あなたの本当の名前・・・・
4年前に突如世界中を襲った「グレート・ロスト」により、高度な電子機器が一切稼働不可になった地球。
その原因と目される謎の存在「ビルダー」は、世界中に「ピラー」と呼ばれる建造物を次々と構築。地球の3分の1はピラーの外殻に覆われる状況になってしまった。
反攻の機会を伺う人類は、かろうじて稼働可能な第3世代以前の戦闘機を結集して、初の本格的作戦を開始。目的は「ミッドウェイ・ピラー」の生存者救出だ。
しかし、人類の科学技術をコピーし、最新鋭の戦闘機を繰り出してくるビルダーに対し、人類は絶望的な戦いを強いられる。
その作戦には「アイス・ドール」と呼ばれるスーパーエースを擁する調布基地第307飛行隊、通称「ヘル・アリス」のメンバーも加わっていた。
主要キャラクター紹介
ありあ(春夏秋冬ありあ):主人公
日本出身、搭乗機は三菱F-1。コールサインはアリス4。無口なエースパイロットで「アイス・ドール」の異名を持つ。
キャシー(キャサリン・ウェラー):主人公の相棒
アメリカ出身、コールサインはアリス5。搭乗機はマクドネル・ダグラスF-4ファントムII 第1話でミッドウェイ・ピラーから救助された。過去の記憶を失っている。
タチアナ(タチアナ・ヤコブレフ)
ロシア出身、コールサインはアリス3。搭乗機はMiG-23、ミリタリーオタク気質
ノア(ノア・アシュケナージ)
イスラエル出身、コールサインはアリス2。搭乗機はIAIクフィルC2。正式な軍事教育を受けた隊のお姉さん的存在。飛行する際はサングラスを着用する
クリス(クリスティーネ・ワルデガルド)
スウェーデン出身、コールサインはアリス1。搭乗機はサーブ37ビゲン。
本作品の見どころ
どんな話なの?
・F-4でF-35とやり合う話
わかる人にはこれですべてがわかるらしい。つまり、絶望的な戦いという状況が。
・『ガルパン』の戦闘機版、ただし本作では人が死ぬ
『ガルパン』は第2次世界大戦時までの戦車を使って、女子高生が戦車で戦う内容だった。そして最大の特徴は『ガルパン』では戦車戦で負傷するリスクはあるが人が死ぬことは皆無だった(それが物語世界の絶対の設定であるため)
一方の『サンジョ』は、
主人公たち人類側で使えるのは、およそ1970年代までに開発された第3世代の戦闘機まで
正体不明の敵は最新鋭の戦闘機を繰り出してくる
絶望的な戦いの中で、ごく普通に人が死ぬ
と大きな世界設定の違いがある。
ここに注目!
主人公を中心とするメンバーはすべて女性(少女)であり、彼女たちが戦闘機を駆り、アクロバティックな空中戦を繰り広げる
タイトルにある通り、調布基地第307飛行隊の主要キャラはいわゆる萌え系の女性キャラで構成されている。「ヘル・アリス(HELL ALICE)」の名称でわかる通り、中二病設定が全開だ! みんな、こういうの好きだろ!?
彼女たちが繰り広げる戦闘機による空中戦は、リアルな戦いよりも見た目の派手さを優先する物語上の「ウソ」が絶妙に盛り込まれたファンタジー表現満載で、絶望的な戦いが描かれているにも関わらず、極上の爽快感がある。
「アイス・ドール」と呼ばれる主人公の成長
「ヘル・アリス」のスーパーエースにして主人公・ありあは卓越した戦闘機の操縦技術を周囲から畏怖されつつも、本人が「心なんて捨てた」と言うようにその冷徹さゆえに軽蔑視されてもいる少女だ。
そんなありあが相棒となるキャシーと出会い、親交を深めていく中で、人間らしい心を徐々に取り戻していく。
しかし、彼女の成長過程に訪れる突然の悲劇。何のために戦うのか? 真に守るべきは何なのか? 苦悩の果てにありあがたどり着いた答えとは?
まとめ
いや~、『第三飛行少女隊』の第1話、こんなに面白い内容だったとは。『SHIROBAKO』特典映像なので、時間とお金の掛け方には制約があったと思うが、とっても興味を引く仕上がりになっている。ぜひとも続きが見たい!「アカツキ何とか」なんて作ってる場合じゃなかったと思う。もったいないなぁ。
もちろん、作中で描かれたようにマンガ原作のアニメなので、ストーリーの終わりは決まってないし、「ビルダー」をはじめとする敵勢力の設定は細部までは詰められてなさそうだ。こうした面での制作上の難しさはあるだろう。
また、戦闘機同士の空中戦は繰り返し描くほどにマンネリ化していく懸念はあるが、そこを「ヘル・アリス」メンバーたちの人間模様で埋めつつ、主人公・ありあの過去を深堀りながら、成長の物語を描いて行けば1クール作品としては十分に成立させられる気がする。
興味を持った方はぜひ『SHIROBAKO』を購入して視聴してあげて欲しい。決して、違法アップロードされた動画で満足することのないように。
ということで、2024年最後のエントリーはちょっとしたお遊びネタでした。いや、でもマジで『サンジョ』おもしろいよ!