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2024年秋アニメ:物語の折り返し地点はどこにあるのか?

主にオリジナルアニメ作品に注目して視聴している今シーズン。そろそろ中間レビューに着手したいと考えているのだが、さて何話までの内容で作品を評価するのが適切なのだろう? そのとき考慮すべき点は「物語の大きな区切りはどこか」ではないだろうか。


オリジナルアニメ苦戦中

何度か書いている通り、現在の私はオリジナルアニメの貴重さに気づき、主に下記の3作品に注目してきた。

  • 『魔法使いになれなかった女の子の話』

  • 『メカウデ』

  • 『ネガポジアングラー』

見聞した範囲では、これら3作品は話題にあがることが少なく、私がnoteに書いた関連エントリーもあまりアクセスを集めていない。

今シーズンのアニメの中でも苦戦しているようで、例えば下記noteのランキングを見ると、そろって下位グループに入っている。
小さくて見にくいが、今シーズンの新作アニメ39作品を対象としたランキング(放映開始初動)で、
 『まほなれ』:24位
 『メカウデ』:26位
 『ネガポジ』:28位
の状況だ。

下記noteより引用

もともと原作マンガや原作小説を持たないオリジナル作品は知名度の面で不利だが、その不利を克服するだけの視聴者を獲得できてないようだ。

もしも、こうした状況が毎シーズン繰り返されているとすれば、オリジナルアニメはそもそもビジネスモデルとして成立しないことにもなりかねない。今後、次シーズン以降も継続してオリジナルアニメの動向を注視していこうと思う。

物語のターニングポイント

さて、1クールで構成されるアニメ作品を評価する場合、物語の中盤あたりで作品の評価はほぼ固まるのではないかと思う。問題は「どこが中盤なのか?」だ。

だいたい12話~13話で完結する1クールのアニメでは、第6話か第7話が時間的には中間地点となるが、私の感覚では物語の大きな節目はもう少し後ろに来るようだ。

それを見極める1つの考え方が映画でいう「ミッドポイント」だと思う。毎度おなじみ『SAVE THE CATの法則』を参考にすると、ミッドポイントとは、

  • 3幕構成の映画では第2幕にあり、第2幕を前半と後半に分けるポイント(名前そのままですな)

  • 主人公が一時的に絶好調になる箇所。もしくは一時的に絶不調になる箇所。両方とも見せかけの絶好調/絶不調であり、どちらになるかはストーリー展開によって異なる

  • ミッドポイント以降では物語中の危険度がアップし、ストーリー展開が激しくなる

とされている。
この考え方を参考に、このnoteで取り上げてきた諸作品でミッドポイントにあたると思われる箇所をあげてみよう。

『響け! ユーフォニアム3』

第8話(全13話):
関西大会に向けたオーディションの結果、ユーフォニアムのソリストが主人公・久美子ではなく、黒江真由になったところ

『ガールズバンドクライ』

第8話(全13話):
桃香がかつての仲間(ダイダス)との遭遇を経て、主人公・仁菜から「告白」があり、今度こそトゲナシトゲアリで絶対に成功すると決意するところ

『リコリス・リコイル』

第9話(全13話):
主人公・千束の人工心臓がアラン機関のエージェントに破壊され、このままでは千束の余命は数か月だと判明するところ

『ガールズ&パンツァー』

第8話(全12話):
プラウダ高校との対戦で相手戦車に包囲される窮地の中、「この大会で優勝できなければ大洗女子学園は廃校になる」と裏事情が明らかになるところ

『宇宙よりも遠い場所』

第8話(全13話):
主人公・キマリやしらせ達の女子高生4人組が目標としていた南極についに到着するところ

『ウマ娘 プリティーダービー(シーズン2)』

第9話(全13話):
この作品については迷うところだが、怪我からの復帰を目指してトレーニングを続けてきた主人公・トウカイテイオーが3度目の骨折に見舞われるところ

『夜のクラゲは泳げない』

第8話(全12話):
JELEEの1周年記念ライブを前に花音の素性がばれ、ライブ中止の危機に瀕するが、無観客ライブとして実行して成功するところ

ここに挙げた作品のうち、何と3作品で花田十輝氏がシリーズ構成を担当している。サンプルとして少し偏っている気もするが、1クールのアニメ作品では第8話か第9話あたりに大きな転機があり、ここから物語の終幕に向けて展開が加速していくパターンがある程度確立されているように感じる。

一方で、『葬送のフリーレン』のように連載マンガを原作とする作品は1クールで物語が完結しないためこうしたパターンにあてはまらない。

ただし、『ぼっち・ざ・ろっく!』は第8話(全12話)がミッドポイントになっていると思う。
台風による大雨でライブに観客が集まらず、失意の中で演奏もイマイチとなり、それを挽回するために主人公・後藤ひとりがギターヒーローの真価を発揮し、その正体に虹夏が気づく回だ。

このようにマンガ原作をアニメ化した作品でも、1クールである程度の物語の完成を目指したと思われる構成になっていれば、ミッドポイントにあたる箇所があるようだ。

ミッドポイントで何を評価するか

さて、物語がミッドポイントまで進んできた段階で何を評価すればよいだろう?

これは各者各様の主観的な評価になると思う。私の考えを平たく表現すると、「この主人公と仲間たちの物語を最後まで見届けたいと思えるか。その思いはどれ程の強さか」になる。

第1話から紡ぎあげてきた物語に視聴者の関心をしっかり掴み、「この先どうなるんだろう!?」と思わせるには、

  • 視聴者が共感できる主人公(と仲間たち)であること

  • 主人公の欲求が人間に普遍的な内容であること

など、これまでに何度も繰り返してきた物語の基礎がやはり重要だ。ミッドポイントまでの物語を振り返り、上記2点がどの程度実現できているかを見て、各作品の評価を決めていきたいと考えている。

さて、2024年秋アニメもそろそろミッドポイントが来ますね。




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