
視覚障害者向けプロダクト、貼って剥がせる「ココテープ」の開発に携わりました!
ご無沙汰しております。平井百香です。
錦城護謨さん、PLAYWORKSさんを中心とするプロジェクトチームの一員として、視覚障害者向けプロダクト「ココテープ」の開発に携わりました!「ココテープ」は、視覚障害者が目印の必要な場所に自分で貼り、必要がなくなったら簡単に剥がすことのできる、能動的な環境のカスタマイズを助けるプロダクトです。

私は視覚障害を持つ友人たちにご協力頂きながら、住まいのリサーチを行っています。住まいの中では、家具の選び方、もののレイアウトの仕方などを、全て自分にあわせてカスタマイズすることができます。なかにはオーダー家具を作っている方や、ご自身でリノベーションの設計をされている方もいるほどです…!一方、街路や駅では、点字ブロックが決まったルートで敷設されています。
この、完全カスタマイズ可能な自宅と、ルートの決められた点字ブロックとの間に、視覚障害者の方々の環境へのニーズが存在していると考えています。
実際に視覚障害者の方々へヒアリングしたところ…
・オフィスの自席から給湯室までの目印がほしい
・ホテルの客室や受付、EVの目印がほしい
・スタジアムやコンサートホールの座席に目印がほしい
・ステージで演奏する時に、立ち位置の目印がほしい
・レジや窓口の列の目印がほしい
などの意見が得られました。
このようなニーズに応えるために、携帯して持ち歩き、簡単に貼って剥がせる「ココテープ」を開発しました。


ココテープには3m巻のタイプと、25cm×4本セットのタイプがあります。
ハサミで簡単にカットできますので、お好きな長さにカットして使用可能です。ちなみに25cmのタイプはA4サイズのクリアファイルやカバンに入れて、折らずに持ち歩くことができます。

断面形状は上の写真のようになっていて、幅は48mm、両サイドに高さ6mmの突起があります。サイズ感としては、ガムテープよりひと回り幅広な感じですね。
ちなみにこのデザインにたどり着くまでに、プロダクトデザイナーの山田敬宏さんが様々なデザイン案を試行錯誤してくださいました…!
両サイドに突起をつけたデザインが決まり、最終候補が幅48mm、60mm、76mmの3つのタイプに絞られました。私はリサーチャーとして、この3種類を使った実証実験の企画と分析を行いました。

実証実験は弱視〜全盲の視覚障害をお持ちの男女16名にご参加頂きました。
靴の種類によって足裏の感度に差が生じると考えられるため、スニーカー、革靴/パンプス、スリッパの3種類の靴を使って、「感知しやすさ」を比較しました。
また、白杖を使った「伝いやすさ」も調査しました。
評価の基準がないと個人差が強く出てしまうので、点字ブロックと同等に感知できる場合を「10」、全く感知できない場合を「0」として各タイプを評価していただきました。

「感知しやすさ」の検証結果は、
・全体として、幅が広いタイプほど感知しやすい。
・女性は靴のサイズが小さく足幅も狭いため、男性よりも幅の狭いタイプを好む傾向がある。
・靴の種類により、スニーカー ≧ パンプス/革靴 > スリッパ という傾向があり、全盲の方は弱視よりも靴のヒエラルキーが明確である。
となりました。 弱視の方は視力も若干併用できますが、全盲の場合は足裏の感覚のみで判断するため、靴による差が大きくなったと考えられます。
また、「伝いやすさ」の検証結果として、48mmタイプは、点字ブロックを「10」としたとき「7」の評価を得ました。
幅広タイプの方が感知しやすいものの、最も幅の狭い48mmであっても一定の評価を得ることができたため、「わかりやすさ」と「携帯性」を両立する上で最適なタイプとして、48mmを採用することになりました。
「わかりやすさ」だけを追求していたら、「携帯性」だけを追求していたら、きっとまた別のデザインに辿り着いたと思います。
プロダクトのコンセプトから導かれた、幅48mm・突起6mmの絶妙なデザインをぜひ楽しんで頂けたらと思います!
また、グループインタビューでは、
・色のバリエーションがほしい
・白杖を添わせる溝等があると良い
・曲がり角、分岐点、警告を示す貼り方の例が欲しい
・オフィスに試しに貼ってみる、イベントや商業施設等に導入してみる等、実際の生活の中で実験できると良い
などの意見を頂きました。

引き続きこうした声をふまえて、製品の改良を検討していきたいと考えています!
現在、ココテープの製品化に向けたクラウドファンディングを実施中です。クラウドファンディングの返礼品としてココテープの実物をゲットできますので、ココテープを使ってみたい方は、ぜひクラウドファンディングにご協力頂けますと幸いです!
晴眼者の方も、プロダクトにご共感頂けましたら、ぜひご支援頂けますと幸いです。
先日「サイトワールド」というイベントで製品発表を行ったのですが、その様子を、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」ビジネスニュース・ピックアップ&週末増刊号にてご紹介いただきました!下記リンクからぜひ聴いて頂けると嬉しいです(14:24からです)。
引き続きリサーチャーとして、実際にどのような場所でご使用いただけたか、どのように行動が変わったか、などを調査していく予定です!