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榛色(はしばみいろ)やトルコ軍楽に一瞬でアクセスできるって。
やっぱり今は未来なのだ。
頭頂部からつま先までがピタッとしたボディスーツを明日からでも着て暮らしさえすれば、意外と今はきっと、20世紀少年の夢想した未来なのだ。
500円がまだお札であった頃、チャンドラーとかロス・マクドナルドとか、そういうハードボイルドの探偵小説を読んでいると、
依頼人の女は私の質問には答えず、はしばみ色の目を伏せて細巻きの煙草に火を着けた。
といった描写を目にすることがあったように思う。
全然、断言はできないのだけど、
清水俊二さんとか、双葉十三郎さんとか、そういう第一人者の筆による翻訳で触れたように覚えているが、まったく別の、エッセイなどでの描写だったのかもしれない。
いずれにしても蠱惑的な目の色として、はしばみ色という聞きなれない言葉を知った。
このはしばみ色が、当時まったく想像がつかなかった。
広辞苑にも「はしばみ」に関する記述はあっても「はしばみ色」の用例は載っていなかった。
「はしばみ」がただ植物の一種であることがわかるばかりだった。
広辞苑をもってしてもはしばみ色は解明されなかったものが、今では「はしばみ色」とネット検索するだけで、
wiki の榛色(はしばみいろ)
榛色 はしばみいろ #bfa46fの色見本とカラーコード - 和色大辞典
色見本 榛色(はしばみ色,ヘーゼルナッツ色)とはどんな色?
榛色とは - きもの用語大全 - きもの館 創美苑
目の色の違いはこんなに面白い - Medium Japan - Medium
とかなんとか、どんな色かわかるどころか、はしばみ色の歴史や概要、和色や呉服に於けるはしばみ色に関することまで、瞬時にアクセスできるのだ。
20世紀までは少なくとも、それだけの情報に触れようと思ったら、国立図書館や大宅壮一文庫などにまる一日は籠らなければならなかっただろう。
それにとどまらず、
植物のはしばみそのもからはしばみ色の目までを、当たり前のように写真で見られるのだ。
(これがはしばみ。ヘーゼルナッツ)
(これがはしばみ色の目なのだ)
こうしたことを即時に知ることができながら、小説を読んだり世界史に関する本を読んだりできたら、モノの見え方がだいぶ違ったんじゃないかと思う。
現在の未知の情報へのアクセスの簡単さは、人類と水の歴史で云えば、井戸、というものを飛ばして、川からの水汲み>>>水道くらいの跳躍がそこにはあるのだが、その物凄い有難みも瞬時に薄れてしまう昨今だ。
川からの水汲み>>>井戸>>>水道 は、
生涯をかけて自分の足で情報を集める>>>生涯をかけて本を漁る>>>インターネット くらいの劇的な違いがあると思う。
色、というものはいくら言葉で辞書で説明してもらっても、写真が登場したのちでは、伝達力はもちろん写真に叶わない。
明日は、この続きとして、音に関するネットの革命への所感を書こうと思う。