
あなたの鬼の面
歩いていたら通りがかった幼稚園で園児たちが鬼退治をしているのを見た。
獣神サンダーライガーおるやんと思ったら違った。
全身鬼の拵えをしていた大人、
たぶん先生、うん、つまり赤鬼。
ちびっこたちは思いっきり豆をぶつけている。
わあわあぎゃあぎゃあ。
それはいい。よくある光景かもしれない。
でも、二度見してしまったのは、
園児たちも鬼の格好をしていたから。
各々、自分で書いたり塗ったりしたのであろう面を顔や頭につけていた。
鬼が鬼に豆ぶつけてる!
それを通りがかったひとたちや近所のひとたちが、柵ごしに眺めてる。
なんやこれ。
せやけど、せやんなあ。
ぶつけられる方はもちろん鬼や。
でも、ぶつける方もまた鬼なんかもしれへんよなあ。
どの角度からみるかによって違うかもしれない。
カラフルなちっこい鬼たちとライガーが朝から走り回っている、さっむい中。
皆、皆、鬼なのかもしれへん。誰の中にも鬼はいる。
豆をぶつけまくっていたちっさい鬼たちは、
鬼役ではない先生の号令で一斉に挨拶をした。
歩いてちょっと遠ざかっていたわたしの耳にもその言葉は入ってきたからまた笑った。
「あーりーがーとーごーざーいーまーすーー!!!」
鬼が鬼に豆ぶつけて御礼言うてる!
人間は意外とわかりあえるかもしれない。
いや、たぶん無理だ。ぜったいに近しいほど無理かもだ。
でも、もしかしたらちょっとはすこしずつは。
好きな芝居の台詞もふと思いだした。
「鬼は人がいて初めて鬼となります。
鬼を人に返せるのもまた、人だけです」
八面六臂の阿修羅像を見た翌日のこと。
てゆーか2月来るん早ない?
春早っ!
*
昨年のこの時期の鬼の話
*
なんとなくみてきた阿修羅像
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構成作家/ライター/エッセイスト、
momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
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