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隣りの次元大介

次元大介って現実に居るんやろか。
居ないな。いや、おるんかな。
 
次元大介とか
フィリップ・マーロウとかあの手のああゆうのが好きだ。
むかしから。
 
あほである。
 
しかし歳をくってくると嫌でもゲンジツなどをみてゆくわけで、
あの手のああゆうのは現実にはおらんと思うようにもなる。
 
おる?
 
うん。
おるかもしれんが、
おったら、ぜったい面倒臭い。
近くにおったら絶対に面倒臭い。
こだわり強そうやし、いきってるし、マイウェイやし。
あの手のああゆうのは一匹狼(風)だからかっこええ、というのは、
違う角度から言うと、
あの手の者は「そうしかできひん」「そうしか生きられん」ということもある訳だし。
 
でも、歳をくって嫌でもゲンジツなどをみてゆくようになると更に考えもする。
あの手のああゆうのはかっこええからこそ、
何か裏とか見せない顔とかあるんちゃうかとか、
え、もしかしてめっちゃ何かすごい癖(へき)とかを隠してるんちゃうか、とか、
ひとりのときはへらへらとかチャラチャラしてるんやないかとか、
いや実はひとりでおってひとりでおるのが好きだしそうしか出来ひんねやろうけれど、
ひとりでおるとき「あー、このキャラ疲れるねんよなー、やめよかなーもう」とか言うたりもしてへんかな、しんどないかな、元気? 大丈夫? それでもええで、ええやん、あ、嫌か、嫌かも嫌やな、とかしょうもないことを考えたりもする。
 
ほんまに、しょうもない。
 
でも。
 
かっこいいは、むずかしい。
 
ま、だから、かっこいいんだ。
 
先月、市、骨董市に行ったら、
めちゃくちゃ古ぼけた箱入りの次元のフィギュアが売られていて、
何を間違ったか買いかけた。
ダニエル・クレイグ演ずるボンドのフィギュアを飾っている知人のことを思い出したのかもしれない。
やめた。
100円だか50円だったか忘れたが、もったいない。
そこまでの思い入れもないし、好きでもない。飾らない。
 
今月、同じ市に、用があったというか、
作っていただいた品を買うために行ったついでに、次元を探したが、おらんかった。
誰かが買うたんか。それとも捨てられたか。妙に気になったのは、なんや、なんでや。
 
そんな今月の市で、目についたのは、
レコードとピストル(玩具)と指環(玩具)。
勿論古着だったり骨董だったりが多いけれど、これらがなんだか多くって。
 
体と気持ちを動かす動かしてくれるBGMなもの。
こんな世で身を守るための(攻撃するのではなく)もの。
きらきらで、きらきらだから、
自らや日々をその気持ちを彩り守りもしてくれるもの。

数日後。
 
百貨店下の雑多なやっすいフードコートでしゃあなしの昼飯を食べていた。
 
隣のブースっていうか仕切られたスペースに、中年男性が居た。来た。
 
どうも、ここで買うたものを食べていない様子。
 
ちらっと見ると、
百貨店内のちょっとええ鳥屋さんの焼き鳥、
店名の書かれた包装紙に巻かれた、1本ずつ巻かれたものを取り出した。
 
そして、リュックから、ぱきっと蓋をあける円形というか楕円形の日本酒をとりだした。
 
やりだした。
 
お昼、13時に。
 
サラリーマンとか、
さくっと安く昼ご飯をしてさっと立ち去る人たちばかりの中、悠々と。
 
ここにおったんや。
 
ほんまにおるんや。
 
世の中には、結構、次元大介がいる。
 
わたしもかもしれへんあなたもかもしれへん。ちゃうけど。
 
途中から取り出してみていたスマホにはきっと我々のみてはいけない情報が書かれている。
 
胸元に忍ばせていたのはきっとS&W M19だ。間違いない。

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構成作家/ライター/エッセイスト、
momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
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momo|桃花舞台
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