早乙女太一@六本木クラス/或いは旅芝居らしさと魅力の話(と、omakeの韓国ドラマ語り)
ドラマ『六本木クラス』の早乙女太一がいい。
最低だ。クズだ。アホだ。という役だ。楽しそうだ。
観てますか?
ネットフリックスで話題になった韓国ドラマの日本版リメイク。
本家『梨泰院クラス』を観ていた私は放送前から「……」でした。
観出しても「……」です。でも毎週観ています。
どうなのよこのドラマ。≪オールスターで本家韓国ドラマを物真似・完コピしようの会≫かよ。
でも観ていて、嬉し笑い、思わずげらげらと笑ってしまうことがあります、キャストと芝居があります。
平手友梨奈がかわいい。
……は勿論なのだけれど、もうひとつ。ヒール役の早乙女太一の芝居です。笑ってしまう。のは私だけじゃないみたい。
毎週木曜夜、放送後、トレンドに彼の名がよく上がっているのを見るのです。
ふふふふふ。
漫画なんです。
すべてのキャラが漫画チック(※原作は漫画だし)なのだけれど、
彼の役、彼の芝居、めっちゃ〝漫画〟です。
主人公が惚れている女の子にニヤニヤと近づく(が、大嫌いと言われる)。
へらへら笑いながら主人公の店にやってきて嫌味を言う。
出来の悪さが故にお父ちゃん(ラスボス)にキレられたり呆れられたりする。
わかりやすすぎる小物悪の表情(かお)!!
漫画やん。と、共に、こうも思う。
「めっちゃ旅芝居・大衆演劇の芝居に出てくる小物感溢れる悪役(を演じる旅役者の演技)やん」
髷や時代物の拵えこそしてないけれど、そういうことじゃなくて。
最近、幾つかの記事に書きました。
私には「旅芝居の勧善懲悪の芝居が(私的に)つまらない」と。
でもね、悪い意味ではなくいい意味で「旅芝居の芝居」は、
私がつまるだのつまらんだの思おうが言おうが、わかりやすいもの、が、多い。
〝大衆〟が一喜一憂出来るわかりやすさが何よりの魅力でもある。
ワル親分は好色で欲に弱くて、ヒーローはとにかくヒーロー。
華やかな立ち回りで悪が斬られると会場中から拍手。
まさに「現代に残る「テレビ時代劇」か「古き良き任侠映画」」。
この「永遠なるマンネリ」が〝スカッとする〟。
なにより、いい意味で決して客を選んだりしない(ものが多い)。
わかりやすい芝居に登場するわかりやすい悪役以上の悪たちが蔓延る世の中だからこそ、
今この時代においてもこういった芝居が続いているウケているのも大きいのだろうと思います。私の好き嫌いはさておいてね。うん、好きじゃないけどね。
そんな世界で育った太一早乙女が、
現代の旅役者の〝アイコン〟のひとりである彼が。
めっちゃ旅芝居(の悪役)らしい役を生き生きと演じている。
本作で一番と言っていいくらい、生き生きと憎たらしく、「漫画的」に。
その存在がこの漫画的な企画とドラマを盛り上げ、生き生きとさせている。
さまざまな縁で旅芝居の世界から飛び出して活躍する彼が。
「奇跡の女形」じゃなく、「めっちゃクズの〝あほ坊(あほぼん)〟」を。
初めて観た彼は15歳の少年でした。
忘れもしない新開地劇場で観た、「劇団朱雀・橘菊太郎劇団合同公演」(2006.4月.創作舞踊『五十鈴』の頃っ!)です。
北野映画『座頭市』への出演で脚光を浴びたばかりの頃でした。
つまり、旅芝居の世界から広くメディアへ(いろんな縁で)飛び出してゆき始めた頃。
でも私の当時のメモ書きはボロカスでした。
つまらなそうに『転がる石』を踊っていて、がっかりしました。
「目つきの悪い大人子供」「機嫌悪い? 睨みすぎ」
「ものすご自分の世界を持ってるのだろうけれど舞台の上で止まってる。
こちらには届かない。曲に合ってるんだが合ってないんだがそれすらも作りすぎてわからない」
しかし、彼は、そこから、みるみるうちに劇団☆新感線の常連になりました。
いのうえさん(演出家)やかずきさん(作家)、古田新太、殺陣のアクションクラブのメンバーに気に入られて。
でも新感線に(旅芝居以上に)思い入れのある私は何も思うところがなかった。
そこからさまざまな舞台や映像に出演するようになって。
あらま、ネットニュースや各種ワイドショーなどで取り上げられたりなんかもして。
昨年は朝ドラに出演し、キザな、でも、素敵に憎めない独特の役で人気を集めた。
役が良かったのかな、いや、「合うてた」んや、この役で私は「あ!」「お!」って(やっと)思いました。
この役もなんかめっちゃ〝旅芝居・大衆演劇的〟だと唸った!から(笑)
で、今、漫画原作からの韓国ドラマをパク、失礼、オールスターでまんま具現化しましたJapan,Ver,の小物クズヒールを、
ラスボス役の照之香川すら食いかねない勢いで楽しそうに演じている。
あの頃「舞台なんてひとつも楽しそうじゃなさそう」だった彼が、若いだけじゃなくなった今。
感慨と共に、笑っててまうのです。バカにしてじゃないよ! なんかホント、よかったよねえ、の気持ちに近いかもしれない。
旅芝居の役者たちはよく言います。
「悪役が好き」「悪役が楽しい」
特に、座長クラスの、普段は主役を演じる立場の人がよく言うように思います。
勿論、格好いい主役が好き。でも、悪役が楽しい。
旅芝居の芝居にはとことん救いようのない悪役や漫画みたいな悪役が多い。
そんなただただ悪いわかりやすい役だからこそ、楽しいのかもな、と、観ていて思ったりします。日頃の鬱憤も晴らせるし、もあるのかもしれない。楽しいよね。
と、言うか。『六本木クラス』そのものが〝旅芝居・大衆演劇〟的なんだ。
なんか〝大衆演劇・感〟が半端ない。
内容も。そして、元は韓国の漫画を原作とするそれを日本版としてリメイクした点というでも。いろんな面で。
貴重な製作費を使っての「寄せてくる」大会? オールスター物真似大会?!
というところがそもそも、まるで旅芝居・大衆演劇の芝居で漫画だのなんだのをパク、失礼、よせてきて、堂々と舞台でやるあの感じみたいな……! あ、良いとか悪いとかではなくね。
感慨深いなあ。別にファンではないのですが。
来週は出番が多いみたいですね。またニヤニヤと一緒に笑ってしまいそうです。
転がる石。転がって、転がって、平成・令和の旅芝居・大衆演劇のアイコンは、これから、歳と経験を重ねて、さて、どんな役者になっていかれるのかな。
旅芝居の、旅役者(出身)だからこその魅力と共に。
ふふふふふ。
■omake①■
以下、大衆演劇関係ない、私が韓国ドラマについてつらつら語りたい。(これが書きたいだけかもしれない笑)
ネトフリの話題の韓国ドラマ、ここ数年、実はとてもハマっています。
それまでにもわりにハード系の韓国映画は観ていた。(マフィア系とか。笑)
しかし、本格的に「わー!」となったのは、映画『パラサイト』で韓国映画の凄さすさまじさにベタ惚れノックアウトされたのが大きい。
と、(それに加えて、それ以上に)大好きな方の影響もとてもとてもとても大きい。
『愛の不時着』から始まり、『梨泰院クラス』、『ヴィンチェンツォ』、
『成均館スキャンダル』、『イカゲーム』(!)、『二十五、二十一』(!!!)……。
そしてそして『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』昨夜完走しました(涙、涙!!)
韓国ドラマ、観ていて、すべて(という言い方は乱暴だが)、「なんでこんなん作れるん?!」って思う。なんやろね。なんなんやろね。日本のドラマとか観れなくなってしまいますね。
韓国ドラマの「ちゃんと声をあげる」キャラクターたちやストーリーがとてもとても好きです。そういう女の子たちやその繋がり・友情がすごい好きです。
ポン・ジュノとソン・ガンホも別格に好きです。
梨泰院はそんなにハマった訳ではありません。が、長家の会長役の役者さんの芝居が好きでした。舞台の人なのですね。
それを、演じる香川照之は……なー、ていうか、この企画がなー、もー。。(以下略)
(しかしこれも私が猿翁や猿之助一門の舞台を好きすぎるが故の私怨かもしれませんね(笑))
■omake②(補足とか大衆演劇話もしておきましょう)■
近年では、
大舞台やメディアでの活躍ぶりから
「太一君をきっかけに大衆演劇にハマりました」
というお客さんも結構、うん、結構多い。本当に増えました。
そういう意味でもすごい貢献度っていうか、
アイコンっていうか、スターやなあ、としみじみ思います。
(でもでもどうぞどうぞ「距離の近い世界」、人間すぎる世界、
ハマりすぎても、いろいろ気を付けてね、ほんとにね)
そんなことが目立つからもあるでしょうか、旅芝居のオジサン役者世代や若い世代でも、
ヤキモチとか「すっぱい葡萄」みたいに彼のことを言う人も居ます。少なくないように思います。声に出す出さないは含めて、心の中で。あ、その役者のファンも含めて。
が、力は勿論、縁や運、それも含めて、スターやねんで、きっと。
めっちゃ思います。いや、別に、ファンでもなんでもないねんけど。でも、とても思います。
◆◆◆
夏もそろそろ終わりますね。
いかがお過ごしですか。空も雲も秋模様ですね。
まだまだ、いろいろ不安や心ざわざわな世の中です。
でもでも、どうぞ、皆、無理なく。
気ぃつかいすぎとかもなく、
らしく、たのしくあれますように!に!
あー、言葉って軽くて浅くてもどかしい悔しいヤキモキ🙏
いつもいっつも、大事な皆さんのことを考えます。
(え?キモい?笑)
◆◆◆
と、以下は、ちょろっと自己紹介 &。
苦手なりにもSNSあれこれ紹介も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
大阪の物書き、中村桃子と申します。
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。
人間に興味が尽きません。人間を、書く、書きたい。
以下、各種SNSとプチ自己紹介など。
遊びに来ていただいたり、
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。
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お仕事のご連絡や、
それ以外のご連絡もお待ちしています。
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簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。パソコンからみていただくと右上に連絡用のメールフォーム✉も設置しました。
現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。最新話12回もアップされています。
13回&14回も間もなくアップされるよー!!
と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼちと。こっちも更新せなあかんなー。
旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかりです)。
https://youtube.com/channel/UC9aToFUeMh1Y0QfMGkmjhsQ
あなたとご縁がありますように。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
皆、無理せず、しんどならんよぉ、
どうぞどうぞ、元気でね!
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