大衆演劇の子役についてとそれを嫌がる客についてのエトセトラ
旅芝居・大衆演劇は家族で構成された劇団・一座です。
(すべてではないけれどほぼ大半が)
そして一か月ごとに公演先を〝引っ越し〟し、毎日を舞台で生きていく人々です。
当然、劇団には子供もいます、ちっさな子からおっきな子まで。
まだ歩きも話せもせんようなちっちゃな子が親に抱っこされて舞台に出るようなのから
こまっしゃくれた子供が自らノリノリで踊ったりすることまで。
今第一線で活躍する座長さんたちの中にも
「初舞台は抱き子(※親に抱かれて出た)」と話す人は少なくありません。
今「イケメンー!」なんて騒がれている若い座長さんでも
「あー、小学生の頃こまっしゃくれて片肌出して踊ってたの観たなあ」ってのも多々あります。
ああ、まさに舞台で生きている、生きていく人たちなんやなあと思います。
ま、子役や赤ちゃんが舞台に出ると
客席の大半は「わーっ」ってなって(ほら、客席には「おかあさま」が多いからさ)、
まあそんでお花(ご祝儀)なんかがつくことが多い訳ですが(笑)
私はこの子役どうこうが嫌いでしてね(笑)
そもそも旅芝居じゃなく大舞台やらテレビとかでも子役があまり好きじゃない・・・。
(なんやねん全くもう、相変わらず血も涙もないですねこの人(私))
そんな私と同じく子供が舞台にあがると嫌がるお客も一部、いや、結構(?)います。
多く理由はハッキリ言って「イロコイ」、なのだと思います。
好きな役者の子供を観たくない!
「役者さんにいろいろあるのはわかります。でも夢をみさせてほしいんです」
とか言う人がいますがそういうことなんやろう。
だってこれってまごうことなき「ゲンジツ」やもん。
かくいう私も他人のことは言えません、うん、全く言えませんよ。
最初に惚れた役者さんが生まれたばかりの子供を舞台にあげたとき幻滅し失望しキレて離れました。
孤高の一匹狼だと思っていたからです。
勝手な理想をぶつけて勝手に理想化して勝手に幻滅失望した訳。
最低ですね。
イロコイよりたちがわるいです。
イロコイ気分が全くなかったかと今思うと0とは言えないかもしれない。
けれど私の場合はお恥ずかしながら己のファザコン体質…
(っていうか生前の父親のことでこの先一生消えない後悔と懺悔)が大きかった。
素敵な父子。それがうらやましかった。と同時にショックやったのだと今は自覚します。
これは私がこの先旅芝居と己のことを書いていく上で
さらに向き合わないといけない己とのテーマだと思ってもいるのですが。
ファザコンだろうと勝手な理想化だろうとほんとに失礼で最低な客でした。
今になって恥ずかしくも情けなくも申し訳なくも思います。
あの頃は若かったではすみません。
今もひょこっと会いに行くと笑ってくれる氏には感謝しかない。
やっぱり(大きな意味で)私の永遠のstar、素敵なfatherです。
そんな「やらかし」を経て歳をくった今は本当に思います。
子供が舞台にあがる。子供を舞台にあげる。
ある意味、これって、ほんまに、「これぞ旅芝居」な光景のひとつやないか! って。
いいとか悪いとかじゃなくさ。愛しいな。と。やっと(笑)
さらにその後ね、ちょっと面白い話も聞きました。
こりゃまた私的darlingのひとりである…
嘘、嘘、結局は呑み仲間なおじさん(失敬)であり
でもでもprofessionalとして尊敬している素敵な表現者、
世界的ちんどんパフォーマーの東西屋・ちんどん通信社代表であり社長の林社長が
教えてくださったお話です。
社長は旅芝居観劇歴…どころか仕事柄若い頃から「役者」として
多くの劇団に助っ人として入り旅芝居役者としても舞台に立っていたこともあり
とてもとても造詣が深い。
そんな社長がちょうどお孫さんが生まれ舞台に立ちだした頃に言っていた。
「よく、役者に目のくらんだおばさんが、好きな役者の子が舞台にあがると嫌がるやろう。
「芸もろくにできない子供を舞台に出すな」とかな」
うんうん。
「せやけどな、あれは、子供の方が舞台に立ちたがるんや。
楽屋とかで親を観て周りをみてると、自然と出たがる。そういうことも多いねん。
そないして芸も出来ないうちから舞台に出ることで育っていくねん、生きていくねん」
グッときました。そうなんやなあ、ほんまに、そうなんやなあ。
本当に、グッときました。
旅芝居、旅役者、って、ほんま、生きていくことやねんなあ。
子も、親も。
続くこと。継ぐこと。お披露目すること。生きていくことの喜び。ああ、〝舞台〟や。
愛しくて、泣き笑いで、なりません。ああ、本当に、生きることなんや。
さてさて、あの当時、こんな記事を書きました。お恥ずかしながらあげておきます。
■omake■
そんな観方で、ずっと旅芝居や旅役者をみてきております。
以前はblogに、近年はnoteのマガジンにまとめているので、よろしければ。
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